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アカウンタビリティ

掲載:2022年12月06日

用語集

「アカウンタビリティ(accountability)」とは、企業においては経営者が株主や投資家、顧客などのステークホルダーに対して経営状態や財務状況等を説明する義務を指す言葉であり、「説明責任」などと訳されます。「会計(accounting)」と「責任(responsibility)」を組み合わせた造語であるアカウンタビリティは経済学から生まれた概念ですが、現在では会計情報にとどまらずESG情報など非財務情報の開示も広く含むものとして使用されます。

アカウンタビリティと似た用語で、「レスポンシビリティ」という言葉も耳にします。レスポンシビリティは「実行責任」とも呼ばれ、ある仕事をやり切る義務のことであり、プロジェクトを実行するメンバーが担います。一方、アカウンタビリティは「成果責任」とも呼ばれ、プロジェクトの成果について説明したり、その後の対策を実施したりすることが求められ、プロジェクトのオーナーが担うものです。

企業のアカウンタビリティに関わる法令としては、会社法や金融商品取引法が挙げられます。会社法は、取締役会設置会社に対して、定時株主総会の招集の通知に際して計算書類および事業報告を提供することを求めています。また、金融商品取引法は、有価証券の発行者で一定の条件を満たす会社に対して、事業年度終了後3カ月以内に有価証券報告書を提出すべきことを定めています。

さらに、これらの法令のほかに企業の情報開示のあり方に大きく関わる規範として、東京証券取引所と金融庁が2015年に策定し、2018年と2021年に改訂した「コーポレートガバナンス・コード」があります。上場企業がコーポレートガバナンスにおいて遵守すべき事項を規定したコーポレートガバナンス・コードは、各原則を実施するか、しない場合にはその理由を説明することを求める「コンプライ・オア・エクスプレイン」の考え方を採用しているのが特徴です。

コーポレートガバナンス・コードの第3章「適切な情報開示と透明性の確保」の「基本原則3」では、“上場会社は、会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきである”とあり、非財務情報を含む情報の積極的な開示が推奨されています。また、2021年の改訂では補充原則が追加され、サステナビリティについての取り組みなどについてさらなる開示が求められるようになりました。

現在では多くの企業が、法令が定める会計情報の開示に加えIR活動やCSR報告書作成といった活動に取り組み、情報開示の充実に努めています。SDGs実現への意識が世界的に高まる中、アカウンタビリティの重要性は今後ますます高まっていくと考えられます。

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