「スチュワードシップ活動の実質化」を推進する金融庁はこのほど、「スチュワードシップ・コード」の改訂案を示し、意見公募を実施しました。意見の受け付けは4月20日まで。
「スチュワードシップ・コード」とは「『責任ある機関投資家』の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~」のことであり、金融庁が2014年に公表しました。その後、2度改訂され現行のものは2020年3月に公表されたものとなります。
スチュワードシップ・コードは金融庁と東京証券取引所を共同事務局とする「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」における議論などを踏まえて改訂されてきました。同会議が2024年6月に公表した「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム 2024」を受けて、2024年10月に「スチュワードシップ・コードに関する有識者会議」が設置、全3回の開催を経て、スチュワードシップ・コードの改訂案が取りまとめられました。コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム 2024では、スチュワードシップ活動の実質化の観点から、建設的な目的を持った対話に資する協働エンゲージメントの促進や、実質株主の透明性向上に向けスチュワードシップ・コードの更なる見直しが提言されていました。
これを受け改訂案では、協働エンゲージメントの促進と、実質株主の透明性向上に向けた見直しが行われました。実質株主の透明性向上に向けては例えば、「原則4」の「指針4-2」として「機関投資家は、投資先企業との間で建設的に対話を行うために、投資先企業からの求めに応じて、自らがどの程度投資先企業の株式を保有しているかについて企業に対して説明すべきであり、投資先企業から求めがあった場合の対応方針についてあらかじめ公表すべきである。」と追記されました。この内容は現行の「注15」(※)で言及されていた内容を指針に格上げするものです。
また、今般の改訂ではスチュワードシップ・コードのスリム化およびプリンシプル化を目的とした見直しも行われました。資料によると、こうした見直しは初の試みとなります。
改訂案には政府が2024年8月に公表した「アセットオーナー・プリンシプル」についても記されています。こちらは、アセットオーナーが受益者などの最善の利益を勘案して、その資産を運用する責任(フィデューシャリー・デューティー)を果たしていく上で有用と考えられる共通の原則を定めたものとなります。
※現行の注15には、「株式保有の多寡にかかわらず、機関投資家と投資先企業との間で建設的な対話が行われるべきであるが、機関投資家が投資先企業との間で対話を行うに当たっては、自らがどの程度投資先企業の株式を保有しているかについて企業に対して説明することが望ましい場合もある。」と記されています。