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サステナビリティ

掲載:2024年05月21日

用語集

サステナビリティ(sustainability)とは、「sustain(持続する)」と「ability(~する能力)」を組み合わせた言葉です。日本語では「持続可能性」と訳され、環境保全や社会、経済などに配慮した活動を行い、持続的な成長を目指す考え方を指します。気候変動や人権問題などサステナビリティ課題への社会的な関心が強まるなか、企業におけるサステナビリティ経営の重要性はますます高まっています。

         

サステナビリティの考え方が普及した背景

1950年代、60年代に先進国が急速な経済成長を遂げた一方、開発による環境汚染や開発途上国における貧困などの問題が認識されるようになっていきました。そして、70年代始めには国連人間環境会議(ストックホルム会議)が開催されるなど、環境をめぐる国際的な決定がなされるようになりました。

その後、1987年に国連の「環境と開発に関する世界委員会」が公表した報告書「Our Common Future」において「Sustainable Development(持続可能な開発)」という概念が取り上げられたことを機に、環境保全と開発を共存し得るものと捉え、両立を目指そうという考え方が広まっていきました。

近年、サステナビリティへの注目が高まっている背景の一つに、2015年9月の国連サミットでSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が採択されたことが挙げられます。2030年までに達成すべき国際目標であるSDGsは17のゴール・169のターゲットから構成され、日本を含む世界の国々が積極的な取り組みを進めています。

「CSR」や「ESG」との違い

サステナビリティやSDGsと近い意味を持つ言葉として、CSRESGがあります。CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)は、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るために求められるものです。自社の利益だけを追求するのではなく、顧客や従業員、取引先、投資家などさまざまなステークホルダーに対して責任を持ち、信頼を得るための企業の在り方を指します。

一方、ESGはEnvironment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス)を考慮した投資活動や経営・事業活動を指す言葉です。もとは投資活動から始まった概念であり、ESGに配慮する経営を「ESG経営」、ESGの視点を取り入れて投資先企業を選ぶ投資を「ESG投資」といいます。

サステナビリティ経営に取り組む意義と重要性

投資家や消費者のサステナビリティへの関心がますます高まる現在、サステナビリティ経営に取り組むことは企業イメージを向上させ、企業価値や従業員エンゲージメントの向上につながります。また、サステナビリティの取り組みが新規事業の創出や取引先の拡大などにつながり、さらなる収益の獲得をもたらす可能性もあります。

経済産業省が2022年8月にとりまとめた「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」では、「社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを『同期化』させていくこと、及びそのために必要な経営・事業変革」を「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」と名付け、その実践の重要性を提唱しています。さらに、経済産業省と東京証券取引所は2023年2月にSXの先進的企業を選定・表彰する「SX銘柄」の創設を発表し、2024年4月には初回となる「SX銘柄2024」の選定結果を発表しました。

サステナビリティに関する国際的なガイドライン・指標

こうしてサステナビリティに関する企業の取り組みが注目されるようになり、企業はサステナビリティ報告書を開示するようになりました。その基準として世界的に活用されているものに、サステナビリティに関する国際的なガイドラインである「GRIスタンダード」があります。国際的な非営利団体であるGRI(Global Reporting Initiative)が作成した「GRIスタンダード」は「GRI共通スタンダード」「GRIセクター別スタンダード」「GRI項目別スタンダード」の3シリーズで構成されています。

また、投資家向けの指標としては、DJSI(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)が広く知られています。DJSIは米国S&P Dow Jones Indices社とスイスSAM社が1999年に共同開発した指標で、サステナビリティの観点で優れた企業を「DJSI銘柄」として選定しています。

サステナビリティ情報の開示をめぐる世界の動向

近年では、世界的にサステナビリティ情報開示の動きが高まり、法制化や基準の統一化が進められています。2021年11月にはIFRS財団から国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が設立され、2023年6月には最初のIFRSサステナビリティ開示基準となる「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」と「気候関連開示」が公表されました。

日本においても、2022年7月にサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が設立され、IFRSサステナビリティ開示基準と整合性のある開示基準の開発が進められています。また、2023年3月期から、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の開示が開始されています。

諸外国においても、非財務情報の開示をめぐる動きが加速しています。EUでは、2023年1月に企業サステナビリティ報告指令(CSRD)が発効され、同年7月には欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)が採択されました。また、米国では、2024年3月に米国証券取引委員会(SEC)が気候関連開示を義務化する最終規則を公表し、2025年開始会計年度から段階的に適用される予定となっています。

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