リスク管理Naviリスクマネジメントの情報サイト

用語集

CSR活動

2019年11月29日

CSRとは、Corporate Social Responsibilityの略で、「企業の社会的責任」を意味します。これを果たすための活動がCSR活動です。なお、ここでいう「企業」とは「官民や営利非営利問わず、あらゆる組織」を指します。元々は「業種業態規模を問わず利潤追求を目指すあらゆる営利組織」を指していましたが、「あらゆる組織」に考え方が変化してきました。また、「社会的責任」における「社会」とは、文字通り社会全体を意味します。より具体的には、企業と直接的な利害関係を持つ従業員や顧客、投資家だけでなく、近隣住民、あるいは環境を共有・共用している、ありとあらゆる人々や組織・団体を指します。さらに、「責任」とは、「社会」に対して企業が担う責任をいい、「持続可能な発展に貢献すること」とも置き換えることができます。

すなわち「社会的責任」とは、どのような組織であっても社会の一員である以上、社会から何らかの利益を享受しているはずで、それゆえ、自分たちの組織が、自分たちの組織の目的達成のためだけに活動するのではなく、社会全体が持続可能な発展を続けられるように、できうる限りの貢献をする責務ということができます。

「貢献」とは-7つの原則

時代の趨勢(すうせい)とともに「貢献」の内容は変化しますが、CSRの国際規格であるISO26000※1では、「貢献」を考えるヒントになりうる以下7つの原則を挙げています。

  1. 説明責任:組織の活動が社会、経済、及び環境に与える影響を説明する
  2. 透明性:明確な情報を適切な時期に開示し、透明性を保つ
  3. 倫理的な行動:倫理観に基づいた行動をとる
  4. ステークホルダーの利害の尊重:ステークホルダーの利害を考慮し、対応する
  5. 法の支配の尊重:各国の法令を尊重し、順順守する
  6. 国際行動規範の尊重:法令だけでなく国際的な倫理観に基づいて行動する
  7. 人権の尊重:人権の重要性・普遍性を認識し、尊重する
※1:「社会的責任に関する手引き」,2010年11月1日発行

CSR活動の必要性 

先述の「社会活動を営んでいる以上、社会から何かしら恩恵を受けているはずで、自らが得た利益のいくらかを社会に還元するのは当然のこと」という考え方に加えて、以下の理由からも企業はCSR活動を促進するべきだと考えられます。

  1. 企業活動を半永続的な営みにする一助となる
  2. 有事の際のダメージを軽減できる
  3. コーポレートガバナンス・コードでも求められている
企業活動を半永続的な営みにする一助となる

組織の事業は顧客や従業員といったステークホルダーからの信頼の上に成り立っています。CSR活動によって広く利益を還元することは、ステークホルダーからの信頼をより強固なものにし、巡り巡って自組織の中長期的な企業価値の維持向上に役立つと考えられます。

言い換えると、こうした活動を通じてステークホルダーの理解や協力を得ることができないと、ビジネスを永続的な営みにすることは難しいともいえるでしょう。たとえば、店舗を持つBtoCの企業であれば出店地域への配慮が求められるでしょう。街の景観を損なうという理由で店舗の外観を変更している企業もありますし、地域住民の反対によって立ち退きを求められる企業もあります。一方、地域住民にとって、企業の従業員や顧客が集まることは利益にも繋がります。人が集まり雇用されることで、地域経済が活性化します。金銭だけでなく、企業の集める従業員によって地域の治安も変わるかもしれません。企業と地域コミュニティの互いの理解や協力なくしては、このいずれも成立させることは難しくなるのです。

有事の際のダメージを軽減できる

CSR活動に力を入れ様々なステークホルダーと共存することは、信頼の獲得につながります。これは、組織が危機に陥った際にステークホルダーのサポートを得やすくなるということでもあります。事実、ネガティブな事件に巻き込まれた企業のCSR指数と各社の株価変動を分析したところ、CSR指数の高い企業のほうが、ネガティブな事件による株価の下落が小さかった、ということがわかっています 。※2つまり、CSR活動に力を入れることが企業価値を向上させる直接的な要因になるとまではいえなくとも、何かあったときの企業へのダメージを和らげてくれるのです。

※2:THE RELATIONSHIP BETWEEN CORPORATE SOCIAL RESPONSIBILITY AND SHAREHOLDER VALUE: AN EMPIRICAL TEST OF THE RISK MANAGEMENT HYPOTHESIS, Strategic Management Journal volume 30, April 2009

コーポレートガバナンス・コードでも求められている

上場企業が順守を求められる、コーポレートガバナンス・コード※3にもCSRに関する記述があります。コーポレートガバナンス・コードとは、上場企業がコーポレート・ガバナンスにおいて、順守すべき事項を規定した行動規範です。

コーポレートガバナンス・コードの基本原則5つのうち、とりわけ以下2つがCSRに関連します。

  • 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
  • 適切な情報開示と透明性の確保

株主以外のステークホルダーとの適切な協働については、「株主はもちろん、株主以外からのリソース提供や貢献を踏まえて行動を行うこと」と説明されています。また、適切な情報開示と透明性の確保については、「非財務情報や、法令により開示が求められる事項以外にも主体的に情報提供を行うこと」とされています。なお、透明性の確保については先に述べたCSRの原則の一つと同義です。

コーポレートガバナンス・コードに記載があるということは、上場企業のみが順守すればよいものでは、と思われる方もいるかもしれません。ですが、これは誤った解釈です。CSRはすべての組織が念頭において活動すべきものです。コーポレートガバナンス・コードにあえて記載があるのは、非上場企業に比べ規模が大きくステークホルダーも多い上場企業は、より一層積極的に取り組むべきだという解釈ができるでしょう。

※3:株式会社東京証券取引所「改訂コーポレートガバナンス・コードの公表」( 2018年6月1日公表)

CSR活動とリスクマネジメントの関係性

CSR活動とリスクマネジメントは一見すると異なります。純粋に視野について比較すると、CSR活動はリスクマネジメントに比して広範です。前者が社会全体の利益を出発点として捉えているのに対し、後者は企業の利益を出発点としています。両者の関係性は、CSR活動がリスクマネジメントを包含していると言えます。CSR活動の一環として、世の中に迷惑をかけないためにも、企業におけるリスクマネジメント活動が求められますし、企業の中長期的なリスクマネジメント活動として、CSR活動が一つの答えになります。

CSR活動とリスクマネジメントをあえて切り分けることをせず、双方を意識して取り組むことが必要といえるでしょう。

(執筆:賀集 大介

当社のWebサイトでは、サイト閲覧時の利便性やサイト運用および分析のため、Cookieを使用しています。こちらで同意をして閉じるか、Cookieを無効化せずに当サイトを継続してご利用いただくことにより、当社のプライバシーポリシーに同意いただいたものとみなされます。
同意して閉じる