金融庁は6月20日、「気候関連リスクに関する金融機関の取組の動向や課題」を公表しました。これは、約20社(大手行等・地域銀行・大手生命保険会社・大手損害保険会社)における2024事務年度の実態把握に基づき、金融機関の気候変動への取り組み状況や課題を整理したものです。
2022年7月に金融庁が「金融機関における気候変動への対応についての基本的な考え方」を策定・公表してから、金融機関は戦略策定やガバナンスの強化、リスク評価などの取り組みを進展させてきました。また、ガイダンスで示された「金融機関が顧客企業の気候変動対応の支援を通じて、顧客企業の機会獲得を後押ししたり、顧客企業の気候関連リスクを低減したりすることで、金融機関自身の機会獲得・リスク低減にもつながり得る」という考えのもと、金融機関がさまざまなデータソースや顧客企業との対話を通じて、当該企業の気候関連リスクを把握し、リスク低減に向けて支援する動きも見られたと記されています。
本報告書では、金融機関がどのような定性情報や定量データを評価に用いているのか、シナリオ分析にどのようなリスクを対象にしているのかなど、各種事例もまとめています。
また、課題として「リスク発現の時間軸が長期にわたり、不確実性が高いことから、定量的なリスクの把握や戦略策定などが難しい」「金融機関が資金供給を通じた顧客企業の移行支援を行うことで、一時的に金融機関の温室効果ガス排出量が増える可能性がある」といった点が整理されています。
金融庁は今後も、金融機関の規模・特性によって具体的な気候変動対応の進め方は異なることを踏まえつつ、気候関連リスク管理や顧客支援の状況について金融機関と対話を続けるとしています。
本報告書の全文は、金融庁のホームページに掲載されています。