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TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)

掲載:2022年11月08日

改訂:2024年12月24日

用語集

気候変動の影響が世界的に懸念される中、各企業が気候変動に対してどのような対策を行っているかは、投資家が企業を評価する指標としてますます重視されるようになっています。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)はこうした流れを受けて設立された国際組織で、企業に対して気候関連財務情報の適切な開示を促しています。

TCFDは2015年、FSB(金融安定理事会)によって設立されました。背景には、先述の通り「各企業が気候変動に対してどのような取り組みを行っているか」という情報のニーズが世界的に高まってきたことがあります。

TCFDは2017年に「TCFD提言」を公表し、企業に向けて気候変動に関する適切な情報開示のフレームワークを示しました。TCFD提言では、気候変動に関する「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標・目標」の4項目についての情報開示を推奨しています。このうち、特に重要視されるのが「戦略」で、他の3項目を考える際のベースになる部分とも言えます。TCFD提言では、戦略の開示にあたり、下記の6ステップでのシナリオ分析を行うことを推奨しています。

  1. ガバナンス整備
  2. リスク重要度の評価
  3. シナリオ群の定義
  4. 事業インパクト評価
  5. 対応策の定義
  6. 文書化と情報開示

日本では2022年4月から、東証プライム市場に上場する企業はTCFD提言に沿った情報開示が求められるようになりました。しかし、TCFD提言では情報開示の方法や内容については明確に規定されておらず、企業が手探りで進めなければならないのが現状です。こうした中、2022年3月に国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)がTCFD提言に基づく情報開示の国際基準案を示しました。

その後2023年7月に、これまでTCFDが進めてきた情報開示に関するモニタリング機能を、2024年から国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)に引き継ぐ事が発表されました。同年10月、2023年活動報告書の発表を最後にTCFDは解散し、現在(2024年12月時点)はISSBがその役割を引き継いでいます。

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