金融庁はこのほど、「サステナブルファイナンス有識者会議第五次報告書」を公表しました。
サステナブルファイナンスとは、新たな産業・社会構造への転換を促し、持続可能な社会を実現するための金融のことです。
持続可能な社会の構築が大きな課題となる中、サステナブルファイナンスの推進の重要性が高まっています。こうした背景をふまえ、「サステナブルファイナンス有識者会議」は2020年12月以降、四次にわたって報告書を取りまとめてきました。
このたび公表された第五次報告書は、サステナビリティ投資を選好する幅広い投資家への投資機会の拡充がテーマとなっています。
報告書では、個人によるサステナビリティ投資の実態が解説されています。アンケート調査の結果、質問に挙がったサステナビリティに関する課題のうち、気候変動・環境破壊・資源枯渇・人口問題などの課題については、年齢が上がるほど、また世帯年収・保有金融資産・投資経験が増加するほど関心が高いという傾向が見られました。サステナビリティ投資の認知・経験については、各年齢層において「聞いたことはない」が半数となった一方、サステナビリティ投資の選好に関する質問に対して「したいと思う」と回答した未経験者が半数でした。「したいと思わない」と回答した最大の理由は「投資手法が分からない」ためでした。このことから報告書では、サステナビリティ投資を選好する個人に投資手法などの情報を提供し、認知・理解を促進させることで、運用対象の多様化や新たな投資機会の提供につながり得るという期待を記しています。
サステナビリティ投資商品の組成・提供におけるさらなる取り組みを進める上では、海外の規制・監督の動向も踏まえ、必要に応じてサステナビリティ投資商品の分類のあり方などを検討する必要があるということもまとまっています。また、サステナビリティ投資の未経験者の一部は、サステナビリティの考慮と投資リターンとの関係に関する論理的な説明やデータが提供されれば、選好が変化する可能性もあり、説明内容の工夫も有効であると示しています。