G20サステナブルファイナンス作業部会は10月14日、「2025年G20議長国・サステナブルファイナンス作業部会共同議長 サステナブルファイナンス報告書」(原題:2025 G20 Presidency and SFWG Co-chairs Sustainable Finance Report)を公表しました。
2025年のG20サステナブルファイナンス作業部会は中国人民銀行とイタリア財務省が共同議長を務めています。本報告書は、同部会の活動をまとめるとともに、持続可能な金融を促進する上で重要な3つの優先課題を示しています。
1つ目の優先課題は、国際的なサステナブルファイナンスの枠組の強化です。気候・環境基金(VCEFs)や国際開発金融機関(MDBs)、国内開発金融機関(NDBs)の連携を強化し、公的資本・民間資本をより効果的かつ効率的に動員することが重要だとしています。
2つ目は、環境悪化や異常気象による甚大な影響に迅速に対応すべく、資金を拡充することです。本報告書は、これらの危機に対応する資金が、グローバルな気候金融フロー全体の5%から13%にとどまっていると指摘しています。
3つ目は、炭素クレジット市場の資金調達可能性を広げることです。報告書では、データの収集、記録、報告における一貫性が欠如しており、これによって市場の信頼性や透明性が損なわれていると指摘。そこで、共通カーボンクレジットデータモデルを設計するための指針を提案しています。
これら3つの課題にアプローチし、サステナブルファイナンスを拡大させることは排出削減だけでなく、雇用創出、インフラ開発などさまざまな相乗効果につながるとしています。
また、本報告書は2021年のG20ローマ・サミットで承認された「G20サステナブルファイナンス・ロードマップ」の進捗状況についても紹介しています。なお、本報告書での提言には拘束力はありません。