
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB:International Sustainability Standards Board)は、国際的なサステナビリティ情報開示基準を開発することを目的として、IFRS財団によって設立された組織です。ISSBによるIFRSサステナビリティ開示基準の公表を受け、日本においてもISSBの基準と整合性のある独自の開示基準の開発が進められています。
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)とは
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB:International Sustainability Standards Board)は、企業が非財務情報を開示する際の国際的な基準の策定を目的とした機関です。2021年11月3日、英国グラスゴーで開催されたCOP26において、IFRS(国際会計基準)を策定する民間の非営利組織であるIFRS財団がISSBの設立を公表しました。
ISSBは既存の基準やフレームワークをベースにしてサステナビリティ開示基準の開発し、2023年6月26日にIFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」(以下、「IFRS S1号」)とIFRS S2号「気候関連開示」(以下、「IFRS S2号」)を公表しました。
ISSBの設立により、それまで乱立していた基準やフレームワークの統一が期待されています。ISSBの発足に伴い、それまで独自の開示基準を策定していた気候情報開示基準委員会(CDSB:Climate Disclosure Standards Board)と価値報告財団(VRF:Value Reporting Foundation)が統合されました。さらに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)も、企業の気候関連情報開示のモニタリングをISSBに引き継ぎ、2023年10月に解散しています。
ISSBによるIFRSサステナビリティ開示基準
IFRS S1号は、サステナビリティ関連のリスクおよび機会に関して重要性のある情報を開示するよう企業に要求するものです。IFRS S1号は、サステナビリティ情報開示における基本的な事項を定めた「概念的基礎」と、サステナビリティ関連のリスクおよび機会に関して開示すべき事項(コア・コンテンツ)を規定した部分から構成されています。コア・コンテンツの要求事項は、TCFD提言を基礎としています。
一方、IFRS S2号は、気候関連のリスクおよび機会に関する重要性のある情報の開示を求めるものです。こちらもTCFD提言を踏まえており、必要に応じてIFRS S1号と共に使用されます。
なお、ISSBによるサステナビリティ開示基準においては、SASBスタンダード※が主要な構成要素として位置付けられています。企業は産業別の情報開示について、SASBスタンダードのトピックと指標を考慮することが求められています。
※サステナビリティ会計基準審議会(SASB:Sustainability Accounting Standards Board)が作成、公表した非財務情報開示基準。77の産業別に開示項目と指標が設定されている。
日本におけるサステナビリティ開示基準開発の動き
ISSBが設立されたことを受け、日本では2022年7月1日に国内のサステナビリティ開示基準の開発と国際的なサステナビリティ開示基準の開発への貢献を目的としてサステナビリティ基準委員会(SSBJ:Sustainability Standards Board of Japan)が設立されました。
SSBJはIFRSサステナビリティ開示基準と整合性のある開示基準の開発に取り組み、2024年3月および11月に、サステナビリティ開示基準の公開草案を公表。2025年3月5日に、3つのサステナビリティ開示基準(「サステナビリティ開示基準の適用」「一般開示基準」「気候関連開示基準」)を公表しました。