金融庁は2025年6月26日、スチュワードシップ・コードの第三次改訂版が確定したことを公表しました。
スチュワードシップ・コードとは「『責任ある機関投資家』の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~」のこと。2014年に策定され、2017年に改訂、2020年に再改訂されました。その後、2024年6月にフォローアップ会議が「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024」を公表したことを受けて、「スチュワードシップ・コードに関する有識者会議」が開催され、改訂案に対する意見公募を経て、このたび第三次改訂が行われました。
具体的な改訂ポイントとしては、「協働エンゲージメントの向上」と「実質株主の透明性向上」に向けた見直しが行われています。
協働エンゲージメントとは、機関投資家が他の機関投資家と協働して対話することです。改訂前のスチュワードシップ・コードでは協働エンゲージメントについて「有益な場合もあり得る」と説明していましたが、第三次改訂では「重要な選択肢である」と記載されています。また、「対話のあり方を検討する際には、投資先企業の持続的成長に資する建設的な対話となるかを念頭に置くべきである」という文言も加わりました。
実質株主の透明性向上については、「機関投資家は、投資先企業との間で建設的に対話を行うために、投資先企業からの求めに応じて、自らがどの程度投資先企業の株式を保有しているかについて企業に対して説明すべきであり、投資先企業から求めがあった場合の対応方針についてあらかじめ公表すべきである」という規定が新たに加わりました。
さらに、今回の改訂では初の試みとして、スチュワードシップ・コードのスリム化・プリンシプル化のための見直しも行われました。
なお、第三次改訂前のコードを受け入れている機関投資家は12月末までに、第三次改訂内容を踏まえ、コードの各原則(指針を含む)に基づく公表項目の更新を行うこととされています。
新たにコード第三次改訂版を受け入れる用意がある機関投資家は、その旨を表明(公表)することが期待されています。金融庁は随時、公表している「スチュワードシップ・コードの受入れを表明した機関投資家のリスト」に追加しています。