ネット上の偽・誤情報対策について国による制度的な対応を提言、有識者検討会がとりまとめ公表 総務省
掲載:2024年09月13日
サイバー速報
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ネット上の偽・誤情報対策について総務省は9月10日、有識者検討会のとりまとめを公表しました。とりまとめに当たっては、7月20日~8月20日まで意見公募を行い、1,706件の意見が寄せられました。
ネット上の偽・誤情報や悪意ある情報の流通は、人権侵害や社会的混乱につながることがあるため、対策が求められています。能登半島地震ではデマ情報が拡散され、救助の妨げになった事例がありました。とりまとめでは、情報流通の健全性確保に必要な総合的な対策を提言しています。
メディアリテラシーや情報リテラシーの向上、ファクトチェックを行える人材の育成、対策技術の開発、諸外国との連携といったことに加えて、国による制度的な対応が必要であるとしたことが柱となっています。特に、SNSなどのプラットフォ―ム(PF)サービスのうち外資系事業者について調査を踏まえた上で、「日本国内で公共的役割を果たす上で、透明性・アカウンタビリティの確保は総じて不十分な状況」と指摘、事業者による自主的な取り組みのみには期待できない状況だと結論づけました。
制度的な対応には例えば、特に悪質な発信者に対する情報の削除やアカウントの停止・削除を確実に実施する方策について、段階的な実施を含めて具体化することや、コンテンツモデレーション(※)に関する手続きや人員体制などを事業者が公表することなどが盛り込まれています。
有識者とPF事業者、メディア関係者および広告事業者などの当事者が参加する協議会を新設することも提案しました。協議会においてガイドラインや行動規範を策定するほか、PF事業者による取り組みを検証・評価する場とすることなどを提言しています。
一方、意見公募では、PF事業者から「PF事業者による透明性確保の水準について、どの程度の情報を公開すれば充分といえるのか。検討が尽くされたとはいえない」などとした意見がありました。こうした意見を踏まえ、有識者検討会は総務省に丁寧な政策検討を求めました。
※コンテンツモデレーション:偽・誤情報の流通・拡散を直接的に抑止するための措置。投稿者に対して警告を表示したり、広告報酬の支払いを停止したりするほか、サービス提供の停止・終了、アカウント停止・削除などがあります。
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