首都直下地震の経済的被害額を1,001兆円と推計、公共インフラ耐震強化の重要性を強調 土木学会
掲載:2024年03月19日
リスクマネジメント速報
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土木学会の国土強靱化定量的脆弱性評価委員会は3月10日、「2023年度国土強靭化定量的脆弱性評価・報告書(中間とりまとめ)」を公表しました。巨大災害が生じた場合の累積経済被害額を推計しており、それによると、経済被害と資産被害を合わせて被害推計額が最も高くなったのは首都直下地震であり、1,001兆円でした。一方、事業費21兆円以上の公共インフラ対策を施すことで経済被害額は39%(=369兆円)減らすことができると示しました。
脆弱性評価とは、巨大災害が発生した場合にどれだけの経済被害を受けるかを推計することをいいます。なお、巨大災害のうち南海トラフ地震に関する評価は作業中のため盛り込まれていません。報告書は「2018年6月報告書」に続くもので、最新データや最新技術を活用して再度、推計し直しました。
首都直下地震の被害推計額1,001兆円の内訳は、経済被害が954兆円、資産被害が47兆円です。なお、経済被害とは、間接被害の一種で国民総生産(GDP:実質値)の毀損総額です。資産被害とは、直接被害の一種で、建物損壊などの金額です。954兆円の内訳は、道路由来が909兆円、港湾由来が45兆円となります。
一方、対策内容とその効果についても検討されました。首都直下地震では、道路対策、建築物と港湾・漁港の耐震強化対策を施すことで経済被害額の39%を減らすことができ、復興年数も5年強縮めることができると示しました。
報告書では東京湾・伊勢湾・大阪湾の巨大高潮、全国109水系における巨大洪水の被害推計額のほか、税収減や復興費による財政悪化の推計値、公共インフラ対策による減災額、財政効果などがまとめられています。
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