「不動産分野における気候関連サステナビリティ情報開示のためのガイダンス」(不動産分野TCFD対応ガイダンス改訂版)を公表 国交省
掲載:2024年04月11日
リスクマネジメント速報
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国土交通省は従来の「不動産分野TCFD対応ガイダンス(※)」(2021年3月公表)を改訂し、「不動産分野における気候関連サステナビリティ情報開示のためのガイダンス」として3月28日に公表しました。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は2023年10月に解散し、その役割は国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が引き継ぎました。改訂後のガイダンスでは、解散前までのTCFDが主体となって進めていた内容については「TCFD」と明記されています。同ガイダンスはデベロッパーやREITなど不動産関連企業を対象としています。
ガイダンスは世界的潮流▽分析概要▽開示好事例及び手法――の3章で構成されています。最初に気候関連や非財務情報開示に関する近年の国際動向および国内の制度化について整理し、グローバルスタンダードとして広がっていくISSBのサステナビリティ開示基準(IFRS S1号、IFRS S2号、2023年6月に最終化)とTCFDとの違いをまとめています。ISSBのサステナビリティ開示基準はTCFDの提言をベースに策定され、4つの柱(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)の構成も踏襲されています。ただ、IFRS 2号には追加の要求事項があると指摘しています。4つの開示項目(コア・コンテンツ)のうち例えば「指標と目標」では、スコープ1、2、3の開示を要求していると記されています。
次に分析概要では、シナリオ分析のステップごとに不動産業界の事例を当てはめながら解説しています。例えば、将来の浸水深を推定して被害額を評価するといった物理的リスクの算定の方法などを紹介しています。最後はTCFD・IFRS 2号のコア・コンテンツ(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った開示事例と先進的事例をまとめて掲載しています。
※正式な名称は「不動産分野における『気候関連財務情報開示タスクフォースの提言』対応のためのガイダンス」。今般公表した改訂版は追補版であるとし、気候関連サステナビリティ情報開示に対応する上での基礎的な情報については、旧版も合わせて参照するよう推奨しています。
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