総務省が基地局の強靭化を支援へ、大規模災害発生時における通信サービスの維持・早期復旧に向けた取り組みの方向性について意見公募を実施 情報通信審議会
総務省の諮問機関である情報通信審議会のIPネットワーク設備委員会(情報通信技術分科会)は10月1日、能登半島地震を踏まえた通信サービスについて今後の対応の方向性を示した報告(案)を公表し、意見公募を開始しました。意見の受け付けは11月1日まで。
IPネットワーク設備委員会(以下、委員会)は8月以降、大規模災害発生時における通信サービスの維持・早期復旧について議論してきました。電気通信事業者の取り組みの有効性を検証するとともに、制度改正や国による支援、連携体制の構築などについて検討し、課題や対応策、今後の対応について報告(案)としてとりまとめました。
検討過程においては、通信・電力・交通といったライフラインが相互依存の関係にあり、一つのライフラインが寸断されると他のライフラインにも影響することが改めて共有されました。例えば能登半島地震では、携帯電話基地局が停波した主な原因は、停電が7割弱(停電のみと、停電+伝送路断の合計)、伝送路断が6割弱(伝送路断のみと、停電+伝送路断の合計)であったことが紹介されています。伝送路は土砂崩れなどにより断絶しました。
通信サービスの維持・早期復旧のためには、基地局を強靭化することが求められており、携帯電話事業者も停電対策として活用するための非常用電源を強化するといった取り組みを進めているところです。ただ、公益性が高い場所の基地局(=都道府県庁などの重要な施設をカバーする基地局)に限っては、その整備を国が支援することにより、整備を推進すべきであると委員会は提言しました。これは、基地局の強靭化が携帯電話事業者の収益の増加や費用の削減につながらず、むしろ都道府県庁をはじめとする災害対応機関の活動に資するものであるためとしています。
報告(案)ではこのほか、応急復旧機材の整備についても国の支援を拡充することや、船舶基地局や給油拠点の共同運用などを総務省が調整するようを提言しています。