「気候関連開示に関するFSB進捗報告書」を公表 金融安定理事会
掲載:2024年12月09日
リスクマネジメント速報
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金融安定理事会(FSB)は11月12日、「2024年進捗報告書:一貫性があり比較可能な気候関連開示の達成」を公表しました。
FSBは、世界各国の中央銀行や金融当局が参加している組織です。2017年6月、FSBによって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は企業に対して、気候変動に関する情報(戦略など)を開示するよう推奨。さらに2023年6月には、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が情報開示に関して2つの国際基準案を公表しました。
報告書では、2021年にFSBがロードマップを発表して以降、2023年のG20ニューデリー首脳宣言でISSB基準が話題にあがったり、証券監督者国際機構(IOSCO)がISSB基準を採用したりといった成果が記されています。そして、これらをきっかけとして、気候情報にまつわる情報開示が世界的な取り組みとして広がったことを評価しています。例えば同報告書によると、FSBに加盟している24カ国のうち、19カ国が、気候変動開示に関する規制やガイドラインを策定。また、17の国・地域が、ISSBの示した国際基準やTCFDの勧告に基づいて開示要件を設けていることも記されています。ただし、中小企業や発展途上国では、さらなる前進が必要とも書かれています。
なお、同日に、国際会計基準(IFRS)財団は「2024年報告書:企業における気候関連開示の進捗」を公表しています。この報告書は、上場企業3,814社のうち、82%がTCFDが推奨する11の開示項目のうち、少なくとも1つに沿った情報を開示していることをレポート。さらに、2023年10月~2024年3月で、1,000社以上の企業が、ISSB基準を参照して報告をしていることも書かれています。一方で、企業のガバナンスや戦略、リスク管理などについての気候関連財務情報を示している会社は少なく、より進捗する必要があるとしています。