復興庁はこのほど「令和6年版東日本大震災復興白書」を公表しました。白書は主に、2023年10月から2024年9月までの復興に関する進捗状況をまとめたもので国会報告(東日本大震災からの復興の状況に関する報告)と同じ内容となります。
白書は2部構成で、第1部は特集となっています。令和6年版では「特定復興再生拠点区域および特定帰還居住区域における復興・再生に向けた取り組み」と「福島国際研究教育機構(F-REI)の取り組み状況」の2つが特集で取り上げられています。
帰還困難区域には、特定復興再生拠点区域と特定帰還居住区域があります。前者では双葉町、大熊町、浪江町、富岡町、飯舘村および葛尾村の6町村の避難指示がすべて解除されました(2023年)。一方、後者では2024年4月までに大熊町、双葉町、浪江町および富岡町の4町において順次、除染が始まり避難指示解除に向けた取り組みを着実に行っていくとしています。
福島国際研究教育機構(F-REI)は「創造的復興の中核拠点」を目指し、2023年4月に国が浪江町に設立しました。①ロボット、②農林水産業、③エネルギー、④放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用、⑤原子力災害に関するデータや知見の集積・発信――の5つの分野において世界最先端の研究・開発を行います。
具体的には、災害時を想定した物理的な障害(熱や水蒸気、風、狭小空間など)や通信障害がある環境下でのロボットやドローンの活用促進に向けた研究開発や、農産物の収穫を自動化する技術の開発といったスマート農業に関係するものなどを進めています。
白書の第2部では、復興の歩みと直近の動向および地域・分野ごとの状況をとりまとめています。例えば、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出は2024年8月で開始から1年を迎えました。放出を受けての対応や今後の方向性(政府としてALPS処理水の処分が完了するまで全責任を持って取り組む)を整理するとともに、①安全確保、説明・情報発信、②風評影響対応、なりわい継続支援、③将来技術――について政府は引き続き検討していくと記されています。