CDPは1月15日、「CDPコーポレート・ヘルスチェック」の2025年版を発表しました。
CDPは、環境情報開示を推進する国際NGOです。現在、世界の時価総額の67%に相当する25,000社がCDPを通じて情報を開示しています。今回発表されたのは、このうち特に影響力のある企業(6,800社以上)における、気候変動対策や自然保護の取り組み状況をデータ分析した結果です。具体的には、①気候や自然に関する情報開示②目標設定③ガバナンスとインセンティブ④戦略と計画⑤進捗状況の5分野が評価されています。また、評価は4段階で行われました(レベル1:遅れを取っている▽レベル2:最低限の要件を満たしている▽レベル3:野心を示している▽レベル4:変化を描いている)。
報告書の中ではまず、企業の意欲の低さが指摘されています。5分野の全てで具体的な行動を取り、レベル3または4と評価された企業はわずか10%にとどまりました。また、レベル4に達した企業はわずか1%という結果になっています。
2つ目のポイントは、情報開示を行うことが自然保護への取り組みにつながるという点です。その裏付けとして、2016年~2023年で、世界の温室効果ガス排出量が年間で平均1%ずつ増加してきた中、近年CDPを通して情報を開示している企業は、年間で平均2%ずつ排出量を削減したというデータが示されています。
3つ目に、ヘルスチェック結果が良好である企業は、自然保護に関するガバナンス・企業戦略に積極的に組み込んでいるという分析結果が記されています。一例として、レベル3または4の会社では、役員報酬を気候変動に関する目標に連動させている割合が78%にのぼり、レベル1または2の企業での割合(48%)を大幅に上回っています。
4つ目のポイントは、利益を追求しながら環境保護に取り組むことは可能だという点です。報告書は、2022年~2024年において、温室効果ガス排出量目標の達成状況が順調な企業と、順調でない企業の時価総額の成長ペースは概ね同じ(年率10%増)であるというデータを提示しています。さらに、運輸、アパレル、サービスなどの一部業種では、排出量削減の目標達成に向けて積極的に取り組む企業の方が、同業他社よりも時価総額が増加していることも記されています。
CDPは各企業に対して、進捗が順調な企業の後に続くかたちで意欲的に行動するよう促しています。