国連環境計画(UNEP)は10月24日、「排出ギャップ報告書」の2024年版を公開しました。
「排出ギャップ報告書」とは、パリ協定の目標(世界的な平均気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃以内に抑える)と、各国の現状とがどれだけ乖離しているのかを調査し、まとめたものです。
2024年版の「排出ギャップ報告書」では、パリ協定の目標達成のためには、2030年までに、各国全体で温室効果ガスの排出量を42%、2035年までに57%削減する必要があると記されています。一方で同報告書によると、2023年の世界の温室効果ガス排出量は前年比1.3%増の571億トンで、過去最高を更新。現状のままでは、今世紀中に世界の気温上昇が最大で3.1℃まで達すると警告しています。報告書ではそのほかにも、各国の目標の達成状況や実現性などに関する調査結果も掲載されています。
パリ協定の批准国には、2020年以降、温暖化の抑制に向けた自国の方針を記載する「国が決定する貢献(NDC)」を5年ごとに提出することが求められています。UNEPは各国に対して、「排出ギャップ報告書」2024年度版の内容を、国際的な議論や次回のNDC提出に役立てるよう促しています。