ワット・ビット連携を推進、エネルギー白書2025を公表 経産省/資源エネルギー庁
経済産業省と資源エネルギー庁は13日、「令和6年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2025)を公表しました。
第1部「エネルギーを巡る状況と主な対策」では、昨年に続き福島復興の進捗を第1章で取り上げました。続く第2章では、GX・2050年カーボンニュートラルの実現に向けた日本の取り組みを解説し、第3章は「主要10カ国・地域のカーボンニュートラル実現に向けた動向とその背景」と題して主要10カ国・地域におけるGHG排出削減目標や次期NDC(国が決定する貢献)の提出状況などを紹介しています。
エネルギーを取り巻く環境は2022年2月のロシアによるウクライナ侵略に始まり、中東情勢の緊迫化、トランプ政権のパリ協定からの脱退表明など大きな変化が立て続けに起きています。白書では、日本のエネルギー自給率は15.3%と先進7カ国(G7)で一番低い水準であり、発電の7割程度を化石エネルギーに依存していると紹介。脱炭素電源の拡大は不可欠だと指摘しました。
さらに、2011年度以降、概ね減少傾向にあった電力需要は2023年度を境に増加傾向に転じると見込まれています。背景には、データセンターの需要増や半導体工場の新増設などがあります。そのため政府は、エネルギー・産業政策として電力(Watt)と通信(bit)の連携(ワット・ビット連携)を通じたデータセンター整備を推進します。
ワット・ビット連携とは、脱炭素の発電設備▽電力インフラ▽データセンターの立地▽通信インフラといったデジタル社会を支える基盤を、全体最適になるように整備することです。官民連携によって電力網と通信網の一体整備を推進する必要があるとした上で、送配電設備の整備状況を踏まえた適地への企業の誘導や、当該エリアにおける先行的・計画的な系統整備とともに、需要家自らが脱炭素電力を利活用・確保する動きを加速化させるためのインセンティブ措置を検討していくと記されています。大規模災害時にデジタルインフラを維持していく観点からも現在は大都市圏に集中しているデータセンターについて地域分散を進めていくことが重要となります。
カーボンニュートラル実現に向けた、主要10カ国・地域の動向では、2025年3月末時点での各国の次期NDCの提出状況を記しています。それによると、2035年のGHG排出削減目標を含む次期NDCについては2025年2月までの提出が求められていましたが、提出済みなのは日本、米国、英国、カナダとなっています(米国は2024年12月の提出)。
なお、白書は例年3部構成でしたが、今年は2部構成となりました。白書に収録されていたエネルギー動向については別途、資源エネルギー庁のホームページに公開されるようになりました。