第7次エネルギー基本計画を閣議決定、2040年度に脱炭素電源は最大7割 政府
政府は2月、第7次エネルギー基本計画を閣議決定し、パリ協定に基づき新たな「日本のNDC(国が決定する貢献)」を、気候変動に関する国際連合枠組条約事務局(UNFCCC)に提出しました。エネルギー基本計画は2024年末に改定案を公表、1か月間の意見公募には41,421件の意見が提出されました。
エネルギー基本計画はエネルギー政策の基本的な方向性を示すもので、エネルギー政策基本法に基づき策定されます。同法では、少なくとも3年に1度の頻度で内容について検討を行い、必要に応じて変更を行うよう定められています。
第7次エネルギー基本計画では、将来の電力需要が増加する可能性が高いとして2040年度の発電量全体に占める電源別構成を▽再生可能エネルギー「4~5割程度」▽原子力「2割程度」▽火力「3~4割程度」――と示しました。政府は2050年カーボンニュートラル(CN)を宣言しており、その実現に向けて脱炭素電源(=再生可能エネルギーおよび原子力)の割合は合計で最大7割としました。
原子力については第6次のエネルギー基本計画では「可能な限り原発依存度を低減する」としていましたが、第7次では脱炭素効果の高い電源として再生可能エネルギーとともに最大限活用する方針に変更されました。背景にはデータセンター需要などにより、減少傾向にあった電力需要が一転して増加すると想定されたことがあります。
政府は第7次エネルギー基本計画の決定とともに、「地球温暖化対策計画」も改定しました。2035年度、2040年度において、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指す内容で、UNFCCCへも報告しました。
エネルギー政策を進めるためには、エネルギー政策を経済政策と一体的に捉え事業環境を国が整備していく必要があります。政府は「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX=グリーントランスフォーメーション=推進戦略)を改訂し、新たに「GX2040ビジョン」を策定しました。こちらは2040年に向けた脱炭素社会と産業振興の両立を目指す国家戦略となっています。