新たに「防災環境向上地区」を指定へ、防災都市づくり推進計画の基本方針改定案で意見公募 東京都
東京都は「防災都市づくり推進計画」の改定に向け新たな「基本方針」を取りまとめ、意見公募を開始しました。募集期間は3月3日まで。東京都は基本方針を今年度末に決定した上で、防災都市づくり推進計画の「整備プログラム」を2025年度に見直す予定です。
防災都市づくり推進計画とは、東京都震災対策条例の規定に基づき策定されるもので、1996年の策定以来、4度改定されてきました。「基本方針」と「整備プログラム」で構成され、今般、意見公募対象となっているのは基本方針の改定案となります。なお、現行の基本方針は2021年3月に一部修正されたものとなります。
推進計画が対象とする区域は都内の市街化区域です。震災時に被害を拡大させないためには、不燃化と耐震化を進める必要があります。関東大震災では死者・行方不明者の9割が火災によるものだといわれています。市街地で起きる火災の延焼を防ぐため、まちづくりには延焼遮断帯の整備が必要とされています。
延焼遮断帯とは、地震に伴う市街地火災の延焼を阻止する機能を果たす道路、河川、鉄道、公園などと、これらに近接する耐火建築物によって構成される帯状の不燃空間のことです。延焼を食い止める機能のほか、避難経路や救援活動時の輸送ネットワークとしての機能も担っています。推進計画は、延焼遮断帯の形成をはじめ、緊急輸送道路や避難場所の確保といった施策を体系的に推進する目的で策定されています。
基本方針には、防災都市づくりに関する施策の指針や目標などが定められています。改定案が対象としている計画期間は2026年度から2035年度までの10年間となります。他方、整備プログラムは基本方針に基づいた具体的な整備計画を定めるもので、基本方針が決定した後、2026年度から2030年度までの5年間を計画期間として見直す予定です。
改定案には、延焼遮断帯の整備目標として整備地域内の延焼遮断帯形成率を2035年度までに80%(2021年時点では69%)、特定整備路線については2030年度までに全線整備とすることを掲げています。また、整備地域以外の木造住宅密集地域のうち、改善が必要な地区を新たに「防災環境向上地区」として指定することや、不燃化を推進する不燃化特区制度と特定整備路線の整備について取り組みを5年間延長することなどが盛り込まれています。