国土交通省は9月、クルーズ船利用者の安全と安心を確保するための取り組みとして「クルーズの安全・安心の確保に係る検討・最終とりまとめ」を策定し公表しました。中間とりまとめを2020年9月に公表しており、その後3年間におけるクルーズ船の運航実績などを踏まえ、次の感染症危機に備えた今後のあり方などを示しました。
文書は、次の4章で構成されています。ダイヤモンド・プリンセス号等事案の検証(第1章)、クルーズの安全・安心の確保と段階的な再開(第2章)、クルーズの安全・安心の確保に向けて国土交通省が実施した具体的措置(第3章)、クルーズの安全・安心の確保に向けた今後のあり方(第4章)。
今後のあり方を示した第4章では、2023年9月に感染症対応の司令塔となる「内閣感染症危機管理統括庁」が設置されたことに触れ、関係機関のさらなる連携強化が必要だと記されています。そのために平時から情報共有や、クルーズ船内で大規模な集団感染が発生した場合を想定した訓練などの実施が求められるとしました。新たな感染症への対応は▽平時▽発生初期▽まん延期▽一定期間経過後(運行の再開時期)――の段階ごとに推奨される措置を具体的に挙げて示しました。
クルーズの運航に関しては、日本人のクルーズ人口が2019年に35.7 万人と過去最多となっていたなか、2020年以降の新型コロナウイルス感染症拡大によってクルーズの運航は一時的に停止しました。運航再開は中間とりまとめが公表された同年9月以降からで、試験運航を経て同年10月に国内クルーズが再開、2023年3月からは国際クルーズも再開され、すべてのクルーズの運航が再開となりました。