消防庁は3月18日、「緊急消防援助隊の編成及び施設の整備等に係る基本的な事項に関する計画」(以下、「緊急消防援助隊基本計画」)の改定を発表しました。
緊急消防援助隊は、阪神・淡路大震災の教訓をふまえて1995年に創設されました。これまで、東日本大震災や令和6年能登半島地震など計46回出勤し、消火や救助、救急など人命救助活動を行ってきました。
「緊急消防援助隊基本計画」とは、緊急消防援助隊の編成(隊の構成単位、任務、装備等の基準など)や登録目標隊数、施設整備計画などを定めたもので、おおむね5年ごとに改定されています。
今回は、甚大な被害が想定される大規模災害に的確に対応できるよう、緊急消防援助隊の機能強化を引き続き図ることを目的に、令和10年度までの計画として改定されます。具体的には次の3つが改定のポイントとなっています。
1つ目は、登録目標隊数の増強です。救助活動に従事する部隊を増強するとともに、安全管理やDXを推進するため、登録目標隊数を6,600隊から7,200隊まで増やす方針となっています(2025年4月現在、6,661隊登録済)。
2つ目は、機能強化に向けた部隊の新規創設です。まず、「情報統括支援隊」(災害情報の収集・整理・共有を専門に行う)が10隊程度創設されます。また、「安全管理部隊」(二次災害の防止のため、活動現場の監視や活動中止基準の作成、隊員の健康面のケアなどを担う)が50隊創設されます。
そして、能登半島地震や熊本地震での教訓をふまえて「救急特別編成部隊」も50隊創設されます。これは、多数の傷病者が発生する事故や大人数の転院搬送など、一時的に多数の救急車が必要となる場合に、複数都道府県大隊の救急中隊を一体的に運用するというものです。
3つ目は、能登半島地震等の教訓をもとにした部隊運用の強化です。能登半島地震では道路事情が悪く、空路・海路からの進出や、小型車両での陸路からの進出が行われました。この点をふまえ、「災害の態様に応じ、小型車両を含めた部隊編成を行うこと」や「空路等での進出に備え、平時から自衛隊等との連携に努めること」を基本計画に明記。また、能登半島地震以外の実災害や訓練での教訓をふまえ、すでに出動している都道府県大隊を一時的に分割して複数の市町村に派遣し、複数個所での災害に対応させるなど、柔軟な運用が行われます。