能登半島地震への対応を特集、「令和6年度版消防白書」公表 総務省消防庁
掲載:2025年01月27日
リスクマネジメント速報
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総務省消防庁は1月21日、令和6年版の消防白書を公表しました。白書は例年、特集・本編・資料編で構成されており、令和6年版の特集では、能登半島地震への対応を最初に取り上げています。
能登半島地震の規模や被害状況を概説した上で、政府、消防庁、消防機関などの活動がまとめられています。それによると、緊急消防援助隊は元日から52日間にわたり延べ約1万7,000隊(うちヘリコプター22機)、約5万9,000人が被災地で捜索・救助活動に従事しました。当時被災地では活発な地震活動が続き、危険と隣り合わせの中、1人でも多くの要救助者を救出するため、倒壊家屋などの被災現場で安否不明者の懸命な捜索救助活動が行われたと紹介されています。地元消防本部などと協力し、3月5日までに295人を救出、1,577人を救急搬送しました。
なお、緊急消防援助隊とは、阪神・淡路大震災を教訓に創設された消防機関の相互援助体制です。全国の登録隊数は6,661隊の2万5,504人(2024年4月1日現在)となり、地震、火災、土砂・風水害のほか、噴火や列車事故などのあらゆる種別の大規模災害で出動、人命救助のために活動しています。
能登半島地震では、緊急消防援助隊の活躍とともに、課題も浮き彫りになりました。発災当初、道路損壊や土砂崩れによって大型車両の通行が阻まれたためです。自衛隊や海上保安庁と連携して船舶などを活用して対応しました。今後は空路や海路による被災地入りを念頭にした部隊のあり方の検討、関係機関との連携強化に向けた取り組みが必要だと結論付けました。具体的には、車両の小型化や資機材の軽量化、航空運用調整の強化などを進めます。また、被災地が積雪寒冷地であり隊員の活動や宿営において過酷な状況であったことを踏まえ、高機能エアーテントや暖房器具などを整備し活動環境を改善します。
被災地では9月、記録的な豪雨に見舞われました。この災害では9月21日から13日間、10府県から延べ約1,600隊(うちヘリコプター9機)、約6,200人の緊急消防援助隊が出動しました。
特集ではこのほか、近年の大規模災害等への対応▽緊急消防援助隊の充実強化▽増大する救急需要への対応▽消防団を中核とした地域防災力の充実強化▽消防防災分野におけるDXの推進▽国民保護施策の推進▽新技術の進展を踏まえた消防防災行政の対応――についてまとめられています。
なお本編は6章構成で、「災害の現況と課題」(第1章)、「消防防災の組織と活動」(第2章)、「国民保護への対応」(第3章)、「自主的な防火防災活動と災害に強い地域づくり」(第4章)、「国際的課題への対応」(第5章)、「消防防災の科学技術の研究・開発」(第6章)となっています。
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