東京消防庁は1月、昨年9月に発行した「東京の消防白書2024」のPDF版をホームページにアップしました。同庁管内の2023年の災害動向を取りまとめるとともに、同庁の活動と消防団などについて紹介しています。
「東京の消防白書2024」(PDF版全348ページ)は全3章構成です。第1章「数字で見る令和5年中の東京消防庁管内の災害動向等」によると、2023年の火災件数は前年よりも377件増の4,330件でした。これは過去10年間で2番目に多い件数となりました。
救急車の出場件数については、前年よりも約4万6,000件増の91万8,311件となり、過去最多を更新しました。救急車の出場件数はここ最近、増加傾向となっており2024年の速報値では約93万5,000件とされ、3年連続で過去最多件数を更新しました。
救急車の要請は夏と冬に多いとされ、2023年においても熱中症疑いやインフルエンザなど感染症の流行などによって救急需要が増大しました。ただ、救急搬送されたのち、医師が軽症(軽易で入院を要さないもの)と判断した割合は全体の54.2%と半数を超えたということです。
救急車の要請が多くなると、近くの救急車が出払っていて遠方の救急車が出場する確率が高くなります。遠方の救急車では現場への到着時間が遅くなります。2023年は救急車が現場に到着するまでに平均9分54秒かかったと紹介されています。東京都消防庁では「救急車ひっ迫アラート」というキーワードを用いて救急車の適時適切な利用を呼び掛けています。
白書の2章では東京消防庁の組織や消防活動体制、施策、日々の活動内容などについて説明されています。火災・風水害のほか首都直下地震、火山噴火に伴う降灰被害、国際情勢を踏まえた武力攻撃災害などあらゆる災害に対し万全の体制を構築するとともに、防火防災訓練の推進や消防団員の活動能力を向上させることで、自助・共助・公助の連携を強化し、地域防災力をより一層高めていくと記されています。
地域防災を担っているのが消防団です。第3章では消防団について活動内容や主な行事、現況を紹介しています。消防団は全国的になり手不足が課題となっており、東京でも定員割れの状況となっています。具体的には、特別区の消防団は58団・定員1万6,000人に対し、現員数は1万3,461人と充足率は84.1%となっています。また、多摩・島しょ地域には合計40団ありますが、こちらも定員割れとなっています。