金融機関に向けた「TNFD提言に沿った自然関連情報分析ガイダンス」(2024年度版)を公表 環境省
環境省は3月31日、「TNFD提言に沿った自然関連情報分析ガイダンス(金融機関向け)-2024年度版-」を公表しました。
社会経済活動を持続可能とするために、世界の企業や政府がネイチャーポジティブ経済への移行を進めています。金融機関は投融資を通した自然への依存・インパクトも大きく、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言などに沿って自然関連情報を開示する必要性が高まっています。さらに、金融機関が分析・開示を進めるための基盤を整える必要もあります。
こうした中で環境省は、金融機関における自然関連情報の分析・開示に向けたモデル事例の創出を目的に「脱炭素実現に向けた自然関連情報分析パイロットプログラム」(以下、パイロットプログラム)を実施しました。このたび発表されたガイダンスは、その成果に基づき、必要となる具体的な分析のステップや手法、課題を示したものです。より多くの金融機関が自然関連情報の分析・開示に向けた取り組みを促進できるよう、公開されました。
環境省はパイロットプログラムで、金融機関3行の融資ポートフォリオにおける自然との接点や自然関連リスク・機会の把握・分析の試行を支援しました。その分析で活用されたのが「LEAPアプローチ」です。LEAPアプローチは、自然関連の依存、影響、リスク、機会を評価する手法です。TNFD提言(企業が自然への依存、自然に与えるインパクト、リスクや機会を開示する枠組み)において開示を補助する手段の1つとして推奨されています。
LEAPアプローチは「スコープの設定」と、「Locate(発見する)」「Evaluate(診断する)」「Assess(評価する)」「Prepare(準備する)」の4フェーズから構成されています。本ガイダンスではLEAPアプローチと対応させながら、パイロットプログラムにおいて具体的にどのような手順で分析を進めたのかを解説しています。
ガイダンスの結びでは、今後は自然関連情報の開示を目的とした分析にとどまらず、情報分析を高度化し、地域社会がネイチャーポジティブへ移行するために具体的な行動の検討を進めるとしています。
巻末には自然資本や生態系サービスに関連する用語集や、パイロットプログラムの支援先での取り組み成果も掲載しています。