厚生労働省はこのほど、「医療コンテナの都道府県における運用ガイドライン」を公表しました。
第8次医療計画では、都道府県や医療機関に対して、災害時などに医療コンテナを検査や治療に活用することが求められています。そこで、都道府県が医療コンテナを効果的かつ円滑に活用するための方法を示すものとして、このたび「医療コンテナの都道府県における運用ガイドライン」が策定されました。
第1章では、医療コンテナの概要が解説されています。医療コンテナには「医療資機材を事前に搭載しモジュール化することで、医療機能を迅速に立ち上げ展開できる」「気密性に優れていて、陰圧・陽圧機能を持つことができ、感染症対策にも有効」「耐久性・堅牢性があり、空調や給水・電源装置等を搭載できる」といった特徴があります。
大規模災害では、避難所での医療・保健活動拠点、被災医療機関の代替・補完、航空搬送拠点(SCU)などとして利用することができます。ガイドラインでは過去の災害における活用事例をもとに、写真や図面を用いながら、医療コンテナの配置例なども紹介しています。
第2章では、医療コンテナを検査や治療に活用するため、都道府県は医療コンテナを保有することが望ましいと解説。また、維持費などの観点から、平時でも利活用を進めることが望ましいと解説しています。平時の使用例として、イベント開催時における救護所や、拠点病院における発熱外来・感染症対策・防災用品保管庫、病児保育、道の駅等の授乳室、学童保育、子ども食堂、地域の集会所等での活用などが挙げられています。
また、都道府県はあらかじめ、医療コンテナ取扱企業などに対して、災害発生時に他機関所有の医療コンテナの借用も含め貸与・運搬・設置・維持管理・撤去できるよう、災害協定を結ぶなどして協力を依頼することが望ましいと記されています。ガイドラインでは、災害協定書の雛形も例示されています。
第3章では、都道府県が災害時に医療コンテナをどのような流れで用いることになるか、8つのプロセスを解説しています(①コンテナ派遣ニーズ及び被災状況の把握②設置候補地における精査③派遣する医療コンテナ及び備品等の調整④医療コンテナの設置の決定⑤借用等の依頼の発出⑥医療コンテナの運用⑦医療コンテナの撤収の決定⑧撤収の依頼の発出)。運搬、設置、撤去の一連の経費については、災害の被害の大きさや法令の適用状況などによって異なるものの、能登半島地震では災害救助法に基づき支弁された例が解説されています。
本ガイドラインは必要に応じて見直し、改訂が行われる予定です。