内閣府および国土交通省はこのほど、2024年5月に創設された「NIPPON防災資産」認定制度に基づいて、制度創設後初めて22件(優良認定11件、認定11件)の認定案件を公表しました。これに合わせて「NIPPON防災資産」に関するWEBサイトも公開されています。
本制度は、昨今災害が激甚化・頻発化する中で「地域で発生した災害の状況をわかりやすく伝える施設」や「災害の教訓を伝承する語り部といった活動」を防災資産として認定することで、住民一人ひとりが災害リスクを「自分事化」し、防災力を向上させることを目的として制定されました。全国の流域治水協議会などを通じて抽出された防災資産の候補案件は、有識者による審議を経て、内閣府特命担当大臣(防災)および国土交通大臣によって「優良認定※」・「認定」案件の認定がされます。
優良認定の一つは、「3.11伝承ロード」です。「教訓が、いのちを救う。」というコンセプトのもと、東日本大震災関連の震災伝承施設をネットワーク化し防災に関する様々な取り組みや活動を行っている点、官民一体となって「東北復興ツーリズム」を推進している点が評価されました。
同じく優良認定を受けた、広島県広島市の「広島市豪雨災害伝承館」は、当該施設ができるまでの経緯・過程に、被災者の苦労や未来への伝承に対する思いが詰まっており、被災者・住民の一体感が伝承館の誕生に繋がっている点、被災者による施設運営、住民・地域主導での研修会などの取り組みが行われている点が認められました。
認定案件には例えば、「奥尻島津波館及び奥尻島津波語り部隊」が選ばれました。1993年に発生した北海道南西沖地震の体験や復興に関する専門的な知識・経験などを持つ語り部隊が、災害に強いまちづくりのノウハウを提供したり、子どもたちの防災意識向上を目的とした総合学習への活動に積極的な取り組みを実施したりしている点が評価されています。
長崎県長崎市の「念仏講まんじゅう配り」も認定案件となりました。江戸時代に起きた「万延元年(1860年)土砂災害」を機に開始し、現代まで160年以上継続している点、「昭和57年7月豪雨」(1982年長崎大水害)の際に該当地区で犠牲者が発生しなかった実績がある点が認定のポイントだとされています。
※災害リスクを自分事化するという観点において、主体的な避難行動や防災行動につながる工夫、仕掛け等が特に優れているもの。