日本マネジメントシステム認証機関協議会(JACB)は4月、ISO活用に関する調査結果を取りまとめた報告書を公表しました。それによると、ISO認証を受けた組織が「ISOの価値を実現」するためには、全社的な取り組みやトップマネジメントの関与、本来業務との一体化などを進めて、認証を取得したマネジメントシステムに関して組織的な推進体制を整備することが必要と示されています。
調査は2021年10月にインターネットで実施し、4,564組織から回答を得ました。対象としたのは、品質マネジメントシステム(QMS)または環境マネジメントシステム(EMS)を構築し、これらのISO認証を取得している組織です。ISO認証の代表的なものとしてQMSとEMSを選び、活用の状況を尋ねました。
それによると、マネジメントシステムの運営体制の相違が、ISOの認証価値、規格価値、審査価値の実現に影響を与えると示し、「ISOの活用を推進する組織体制が整備されていて、それに基づいて ISOの価値を実現する行動を体系的に連動させて実施している組織が、ISO が持つ潜在的な価値を実際に導き出している」と指摘しています。また、そのような組織体制は、全社的な取り組み、トップの関与、他のスタッフ部門との連携、業務への一体化の強化によって形成されると分析しています。
なおJACBでは、ISO活用の利点を、認証を取得することで生じる「認証価値」、規格をマネジメントシステムとして活用することで生じる「規格価値」、認証機関が実施する審査を受けることで生じる「審査価値」の3つと定義しています。