金融庁は1月31日、「記述情報の開示の好事例集2022」を公表しました。同事例集は、公表された有価証券報告書において内容が好事例であると認めたものを抜粋し判断理由とともに掲載したものです。1月31日に公布された改正内閣府令(企業内容等の開示に関する内閣府令)への対応にも参考となる事例集となっています。
改正内閣府令によって有価証券報告書の記載項目に「サステナビリティに関する考え方及び取組」(事業の状況)が新設されました。また、「従業員の状況等」(企業の概況)や「コーポレート・ガバナンスの概要」(提出会社の状況)、「監査の状況等」(同)においても記述の充実が求められようになりました。
「サステナビリティに関する考え方及び取組」では、サステナビリティ情報について全企業が「ガバナンス」と「リスク管理」に関する事項を開示し、「戦略」と「指標及び目標」に関する事項については企業が重要性を踏まえて開示を判断するとされています。気候変動については企業が重要であると判断する場合には、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標及び目標」の枠で開示します。人的資本については「人材育成方針」や「社内環境整備方針」およびそれら方針に関する指標の内容や指標を用いた目標・実績についても開示が求められます。
好事例集では、離職率や1人当たり残業時間、育休取得率の定量的な情報の記載、サプライチェーン上のCO2排出量が多い事業と削減貢献策に関する記載、脱炭素に向けたロードマップを時系列で図示して説明したものなどが取り上げられています。