東京証券取引所(東証)は8月31日、国内上場企業の英文開示について海外投資家向けに行ったアンケート調査結果を公表しました。回答者の75%が英文開示は改善したと評価する一方、英文資料は和文資料よりも開示が遅かったり、情報量が少なかったりするとして72%が不満を持っていることが分かりました。投資機会の損失につながっているとされ、東証は今秋に予定している「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」において、プライム市場における英文開示の義務化について内容を検討する予定です。
調査結果によると、機関投資家が英文での開示を最も必要とする資料は決算短信で98%でした。次いでIR説明会資料(87%)、有価証券報告書(85%)と続きました。機械翻訳ツールの普及が進んでいますが、投資家からは「機会翻訳での翻訳が困難」(IR説明会資料)という回答や、機械翻訳ツールを使用したと思われる英文について「メッセージの意味をうまく捉えることができない」といった回答がありました。
英文開示が不十分であった場合の支障を尋ねたところ、多い順に「IRミーティングが深まらなかった」(69%)、「ディスカウントして評価した」(41%)、「投資対象から除外した」(35%)となりました(複数回答可)。「ウェイトを減らした」とする回答も28%あり、投資行動に直接的な影響を与えたことが分かりました。
調査はウェブアンケート形式で調査期間は2023年6月26日~7月末。調査対象は主に資産運用会社などの海外機関投資家で75件の回答を得ました。