金融庁は4月6日、同庁のBCP(新型インフルエンザ等対応編)を改定、公表しました。改定は、政府が2024年7月に新型インフルエンザ等対策政府行動計画を全面改定し、2024年9月には関連するガイドラインである新型インフルエンザ等対応中央省庁事業継続ガイドラインも改定したことを受けたものです。改定されたBCP(新型インフルエンザ等対応編)では健康被害とそれに伴う社会的・経済的な影響に加え、パンデミックになることへの懸念についても言及されています。
改定されたBCPは「金融庁業務継続計画(新型インフルエンザ等対応編)」です。金融庁のBCPはこのほか、首都直下地震を想定した「金融庁業務継続計画(首都直下地震対応編)」もあり、この二つの計画を整合的に運用するとされています。府省庁向けのガイドラインである、新型インフルエンザ等対応中央省庁事業継続ガイドラインが内閣官房内閣感染症危機管理統括庁(2023年9月設立)によって改定されたため、金融庁でも現行BCP(新型インフルエンザ等対応編)を改定しました。同ガイドラインは、新型インフルエンザ等発生時においても行政機関などがその機能を維持し必要な業務を継続することができるよう、講ずべき措置を示しています。
BCPは、新型コロナウイルス対応で得られた知見が活かされています。例えば、第5章「感染対策の徹底」では、新型インフルエンザ等の特性によっては飛沫感染および接触感染に加え、エアロゾル感染に対応する必要がある場合が考えられると言及し、エアロゾル感染への対策として、可能な範囲で換気を行うと追記されました。
第5章には第4節として「海外勤務する職員等への対応」も追記されました。発生国・地域に駐在する職員やその家族に対して現地における安全な滞在方法や退避の可能性について検討するほか、発生国・地域への出張について不要不急の場合は中止を検討すること、海外からの出張者受け入れについて水際対策により入国制限などの措置が講じられ出張者の入国に影響を与えることが想定されるため最新の情報や要請を踏まえて具体的な対応方針を検討することなどが追記されました。
新型コロナウイルス禍での経験を踏まえて政府は危機管理態勢を強化しました。内閣感染症危機管理統括庁のほかにも、今年4月には日本版CDCとされる国立健康危機管理研究機構(JIHS)を設立しました。こうした新体制を反映し、新型インフルエンザ等発生時には、金融庁は内閣感染症危機管理統括庁と緊密な連携を図ると記されました。