気象庁は4月25日、「広域に降り積もる火山灰対策に資する火山灰予測情報のあり方(報告書)」を公表しました。
気象庁は、2025年1月~3月にかけて計3回、有識者から成る「広域降灰対策に資する降灰予測情報に関する検討会」を開催し、大規模噴火時の新たな火山灰予測情報の具体的な内容について議論しました。その結果をとりまとめたのが、このたび公表された報告書です。
3月28日に内閣府が発表した「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」は、降灰被害の様相を4つのステージで区分しています(ステージ1:降灰量微量以上3cm未満▽ステージ2:降灰量3cm以上30cm未満で被害が比較的小さい▽ステージ3:降灰量3cm以上30cm未満で被害が比較的大きい▽ステージ4:降灰量30cm以上)。ステージ4は木造住宅倒壊などの危険があり、原則避難することになっています。
ガイドラインにおけるこうした前提をふまえ、「広域降灰対策に資する降灰予測情報に関する検討会」では、降灰量が30cm以上と予想された場合には一段強い呼びかけが必要であるとしています。その具体策としては、火山灰に関する特別警報の導入が選択肢の一つになるものの、噴火警報や気象の特別警報との考え方と異なる場合には、住民や地方公共団体の混乱も懸念されます。そのため、強い呼びかけ方法については、懸念も考慮しつつ検討する必要があるとしています。
また、降灰量が30cm未満の場合における呼びかけのありかたについても検討されました。0.1mm以上となることが予想される場合には、鉄道の運行停止なども考えられるため、「火山灰注意報(仮称)」を原則市町村単位で発表することが望ましいとしています。また、降灰量が3cm以上になると予想される場合には、ライフラインへの影響が大きくなる恐れが高まるため、「火山灰警報(仮称)」を原則市町村単位で発表することが望ましいとしています。
さらに、降灰量階級表の修正も提言しています。既存の階級表は降灰量1mm以上が1つのカテゴリーにまとめられているため、1mm以上の火山灰量でとるべき対応が分かるよう、「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」の区分もふまえてより詳細に修正するべきとしています。