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最大許容停止時間 (MTPD: Maximum Tolerable Period of Disruption)

掲載:2009年08月09日

用語集

『最大許容停止時間』とは、MTPD(Maximum Tolerable Period of Disruption)とも呼ばれ、経営陣が最大限譲歩できる業務中断の最長時間のことを指します。

         

『最大許容停止時間』の定義

MTPD(Maximum Tolerable Period of Disruption)とは、期待されない事象(事故・災害や大障害等)によって、重要な業務(取引先への支払や製品の納品業務など)が停止し、事業(顧客に製品やサービスを提供するための一連の活動)が中断に追い込まれた際に、その中断時間が事業にもたらす影響の観点(例:主要顧客が他社に流れてしまう等)から、組織の経営陣が最大限許せる業務中断時間の長さを意味します。

これを分かりやすく、人間の体にたとえるなら、
  • 期待されない事象  → 交通事故
  • 業務→ 心臓
  • 事業 → 人間としての活動
となり、つまり『最大許容停止時間』とは、不幸にも交通事故(期待されない事象)に遭遇し、心肺停止(業務の停止)となり、一時的に人間としての活動(事業)ができなくなってしまった場合に、最大何分の心肺停止(業務の中断)までなら許容できるのか(※例えば一般的には、4分以上心肺が停止すると蘇生率が半分以下になると言われています)を指したものである、ということができます。
 

『最大許容停止時間』の意義

『最大許容停止時間』は、事業継続計画(BCP)においての、あらゆる面での判断基準になるものであり、非常に重要な役割を持ちます。

具体的には、BCPを作成するための分析活動(事業インパクト分析(BIA))において、「事業にとって、どの業務が重要であるのか」を導き出すための指標となります。また、このようにして導き出された重要な業務に対し、何時間(何秒、何分、何日、何週間、何ヶ月)以内の復旧目標(RTOやRLO、RPO等)を設定すればよいのか、を決める際の基準としても利用されることになります。

『最大許容停止時間』の事例

『最大許容停止時間』は、最終的には、組織の判断に委ねられるものの、つまるところ「事業の利害関係者(一番の利害関係者は、一般的には事業の対象顧客)が何を求めているか」が最大の決定要因になります。したがって、サプライチェーンの力が強く働く製造業(例えば自動車業界)や、短い時間で何千何万もの決済処理をするような金融業では、事業が中断した際のインパクトが大きいため、比較的短い『最大許容停止時間』になる傾向があります。実際、ある調査によれば、多くの製造業や金融業において『最大許容停止時間』を「1日未満」として認識していることが分かっています。