2030年度に国内主要アパレル企業の環境配慮情報開示率100%へ、情報開示ガイドラインと中間とりまとめを公表 経産省
掲載:2024年07月03日
リスクマネジメント速報
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経済産業省の審議会で繊維産業小委員会は6月25日、中間とりまとめと繊維・アパレル産業向けに環境配慮情報の開示に関するガイドラインを公表しました。中間とりまとめでは、繊維製品における資源循環ロードマップを策定し、2030年度目標で国内市場における主要アパレル企業の情報開示率100%を目指すとしました。また、特定技能実習生の受け入れに伴う監査において「Japanese Audit Standard for Textile Industry(JASTI)」(仮称)を策定することにも触れ、監査要求事項(案)も掲載しています。
繊維産業小委員会では2023年11月から7回にわたって、環境配慮などのサステナビリティへの対応▽人材確保・取引適正化への対応▽繊維産地におけるサプライチェーンの維持に向けた取り組みの方向性――の3つの観点で議論を重ねてきました。中間とりまとめでは2030年度をターゲットイヤーとした個別目標が盛り込まれています。その1つが「主要アパレル企業の情報開示率100%」です。達成にむけて、先行企業の情報開示事例を紹介するとともに、欧州連合(EU)などの海外動向、国内の関係省庁の取り組みなども整理した「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン第1版」を策定、公開しました。
一方、今年3月に策定された「繊維製品の環境配慮設計ガイドライン」については「企業普及率80%」が掲げられています。同ガイドラインは、繊維製造事業者がJISQ62430:2022(環境配慮設計-原則、要求事項および手引き)に基づいて環境配慮設計を推進できるよう、11の環境配慮設計項目が示されています。環境配慮設計ガイドラインのJIS(国内規格)化やISO(国際規格)化も推進するとしています。
このほか、繊維の水平リサイクルや家庭から廃棄される衣料の削減目標についてもそれぞれ2030年度の目標が示されています。
JASTI(仮称)は特定技能実習生を受け入れる際の監査要求事項・評価基準となるもので、これを基にした第三者監査制度の運用開始を今年度中に目指すと記されています。
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