「多摩地域の新たな防災拠点の整備に向けた基本構想」を策定 東京都
掲載:2024年12月10日
リスクマネジメント速報
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東京都は11月22日、「多摩地域の新たな防災拠点の整備に向けた基本構想」を発表しました。
近年、大規模地震や火山噴火、風水害など、さまざまな自然災害リスクが高まっており、それぞれの防災拠点でさらなる機能強化が求められています。また、社会の変化にともない、緊急対応のDX化や、施設の持続可能性・環境配慮なども求められています。
都は以上のような状況をふまえて、多摩地域で運用されている立川地域防災センターと多摩広域防災倉庫の機能を一体化させ、新たな拠点を設ける方針を立てました。具体的には、多摩広域防災倉庫の建て替えを計画しています。策定した基本構想には主に下記のような内容がまとまっています。
まず、立川地域防災センターは現在、災害対策室や一時避難室、防災備蓄倉庫、非常用発電設備などが備わっています。災害時に初動対応を行う職員が居住する住宅棟もあります。災害時には都防災センターの指揮のもとで運用され、都防災センターが使用できなくなった際は代替組織になります。
多摩広域防災倉庫は、災害時の食料や生活必需品などを保管する防災備蓄倉庫としての機能と、備蓄や物資を搬出する輸送基地としての機能をもっています。平時は、救出救助訓練や防災に関する啓発も行われています。
そこで、都は、立川地域防災センターがもつ情報発信の場としての機能と、多摩広域防災倉庫がもつ備蓄・輸送拠点としての機能を合わせた、オールハザード対応の拠点を設ける予定です。両者の役割を一体化させることで、災害対応場所としての機能をより高度にする狙いです。
また、現状の立川地域防災センターと多摩広域防災倉庫は、スペース拡充やシステム刷新、セキュリティ強化などについて改善の必要性がありますが、新拠点では、2拠点が抱える課題を払拭させる構想にもなっています。例えば都防災センターと同等以上の執務スペースや、記者会見室などに使う情報発信スペースを確保。備蓄品の保管場所の広さは1.5倍になる計画となっているほか、物資の搬入スペースも拡充されます。
さらに、災害対応の意思決定・指揮を的確に行える 情報システムを整備するなど、DX推進が図られます。省エネ・再生可能エネルギーの活用も行い、環境に配慮して運営される見込みです。
なお、現在の立川地域防災センターは、防災の普及啓発・体験施設、各局の災害時活動スペースとして活用されます。
今後のスケジュールとしては、2025年度の新拠点基本計画を立て、2026~2027年度で設計を行い、2028年度以降で建築され、運用開始となる想定となっています。