日本経済団体連合会(経団連)は1月21日、「ハラスメント防止対策に関するアンケート調査結果」を公表しました。カスタマー・ハラスメントや就活におけるハラスメント、自爆営業について防止対策などを調査しました。
それによると、回答企業の43.2%がカスタマー・ハラスメントについて積極的に対策を推進していました(「対策を取りまとめて実施している」と「現在、とりまとめるべく検討している」の合計)。具体的な取り組みを尋ねたところ、「従業員を対象とした相談窓口の設置」が最多で73.3%、次いで「社内向けの対応マニュアルの策定」が61.7%、「顧問弁護士や警察などとの連携」が60.0%、「カスハラ発生時の社内体制の構築」が58.3%と続きました(複数回答可)。なお、4月1日に施行される東京都のカスハラ防止条例(東京都カスタマー・ハラスメント防止条例)第14条1項では、「事業者は、顧客等からのカスタマー・ハラスメントを防止するための措置として、指針に基づき、必要な体制の整備、カスタマー・ハラスメントを受けた就業者への配慮、カスタマー・ハラスメント防止のための手引の作成その他の措置を講ずるよう努めなければならない」との努力義務が規定されています。
就活ハラスメントについては、就活生やインターンシップ生、転職希望者に対するセクシャルハラスメントやパワーハラスメント、就活終われハラスメント(オワハラ)について調査しました。それによると、回答企業の59.9%が積極的に取り組みを推進していました(「対策を取りまとめて実施している」と「現在、対策を取りまとめるべく検討している」の合計)。具体的な取り組みとしては「リクルーターや採用担当者等を対象とする面談時等のルールの策定」が最多となり、次いで「リクルーターや採用担当者等向けの研修の実施」、「ハラスメント行為者に対する処罰の明確化」と続きました(複数回答可)。
「自爆営業」は従業員へ自社商品の購入を迫ったり、営業ノルマ未達分の買い取りを強制したりするもので、厚生労働省の労働政策審議会は昨年、職場におけるパワーハラスメントの3要件を満たす場合にはパワーハラスメントに該当することについて、パワーハラスメント防止指針(※1)に明記することが適当であると結論付け、指針改正に向けた建議をとりまとめました。指針に明記されることで自爆営業もパワハラとの認識が広がり企業は対策を講じる義務が課されることになりますが、今般公表された調査結果では積極的に取り組みを推進している(※2)と回答した企業は2割程度となりました。
※1 「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」のこと。
※2 営業推進に関する方針・規定や研修などに自爆営業を行ってはならない旨の内容を「盛り込んでいる」および「盛り込むべく検討している」の合計。