総務省はこのほど、地方公共団体の職員を対象とした初のハラスメント実態調査の結果(報告書)を公表しました。実態を比較できる参考情報として、報告書では民間企業の労働者を対象とした調査データ(※1)を一部併記して調査結果がまとめられています。
調査は全国の都道府県や市区町村に勤務する職員2万人を対象に2024年1月から12月にかけて実施されました。有効回収率は57.5%(1万1,507人)。
報告書によると、過去3年間にカスタマーハラスメント(カスハラ)を受けた、または受けたと感じた職員は全体の35.0%となりました。これは2023年度に民間企業の従業員を対象に行われた厚生労働省の調査と比較して約3倍となる割合でした(民間は全体で10.8%)。全体では35.0%でしたが、年代別でみると30代が44.6%と最も高く、次いで20代以下が40%となりました。民間を対象とした厚生労働省調査でも30代(11.3%)、20代(11.2%)、40代(11.0%)の順で高くなりました。
カスハラの発生が最も多い部署は住民からの意見や苦情、要望などを受け付ける「広報公聴」で66.3%、次いで「各種年金保険関係」「福祉事務所」(いずれも61.5%)、「戸籍等窓口」(59.9%)、「税務」(55.5%)となりました。カスハラを受けた、または受けたと感じた職員のうち、「ほとんど毎日」または「週に数回」と回答した人の割合が最も高かったのは福祉事務所で8.8%でした。
カスハラ発生のきっかけとなった主な理由は「行政サービスの利用者・取引先の不満のはけ口・嫌がらせ」が72.5%で最も高く、「職員の対応が一因」とした回答は17.5%でした。
パワーハラスメント(パワハラ)については、過去3年以内に受けたと回答した職員は15.7%、見聞きした経験を含めると38.1%にのぼりました。年代別でみると40代が19.3%と最も多く、20代以下(11.7%)と比較すると2倍弱となりました。なお、民間を対象とした厚生労働省調査ではパワハラを「経験した」割合は全体で19.3%でした。
調査結果を踏まえ、総務省は地方公共団体で実際に効果があった取り組みを掲載した事例集(※2)を作成、公表しました。相談窓口や第三者調査委員会の設置、啓発活動の強化などが紹介されています。
※1 令和5年度厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査」(厚生労働省が2024年5月に公表)
※2 地方公共団体における各種ハラスメント対策に関する取組事例集