4月1日施行に向けて、カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)を公表 東京都
掲載:2025年01月20日
リスクマネジメント速報
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東京都では今年4月1日から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」(カスハラ防止条例)が施行されます(公布は昨年10月11日付け)。それに伴い昨年末、東京都は「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)」を策定、公表しました。このガイドラインは条例の規定に則って策定されたものであり、カスタマー・ハラスメントを防止するために必要な事項について定められています。
ガイドラインには次の5つが規定されています。①カスタマー・ハラスメントの内容に関する事項②顧客等、就業者および事業者の責務に関する事項③都の施策に関する事項④事業者の取り組みに関する事項⑤その他カスタマー・ハラスメントを防止するために必要な事項。
カスハラ防止条例の第4条は「何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない」と規定しています。ガイドラインではまず、カスハラ禁止の趣旨・目的を記すとともに、禁止の法的効果について条例に罰則規定はないものの、カスハラ行為の内容次第では刑法や民法、下請代金支払遅延等防止法といった法律に基づく処罰を受ける可能性があると記しました。
カスハラに関連する用語の意義は条例でも記されていますが、ガイドラインではより丁寧に用語を定義し、カスハラの判断基準を示しています。例えば、「就業者」については、いわゆる労働者だけでなく、有償・無償を問わず業務を行うすべての者を指すとしたほか、インターシップ生やPTAなどボランティア活動に従事する保護者、議員なども含まれると説明しました。
カスハラ防止条例では事業者の責務も規定しています(第9条第1項~第3項)。この点についてガイドラインでは、「事業者においては、顧客等による暴力行為等によって就業者の安全が脅かされる事態が発生した場合、あらかじめ定めた対応方針に従い、現場監督者等が対応を代わった上で、顧客等から就業者を引き離す、あるいは、弁護士や管轄の警察と連携を取りながら対応するなど、就業者への被害がこれ以上継続しないようにすることが求められる」などと施策が示されています。
対応のポイントも示されており、例えば、カスハラを受けた当時の状況が録音・録画されたものを相談者(就業者など)とともに確認するとより正確に状況を把握することができるといった具体例が挙げられています。カスハラは未然防止が重要となりますが、発生時には事業者が適切に対応できるよう、あらかじめ社内で対応方針・手順を決めておくことが望ましいと明記されています。