消防本部や消防署でのハラスメント防止に向けて「通知」発出、2023年度ハラスメント実態調査結果も公表 総務省消防庁
総務省消防庁はこのほど、消防本部における2023年度のハラスメントの実態調査の結果とともにハラスメントを防止するよう、対策の徹底を求める通知を出しました。通知文書には今後、各消防本部におけるハラスメント対策の具体的な実施内容に関する調査を行う予定だと記されています。
「消防本部におけるハラスメントの実態に関する調査の結果及び留意事項について(通知)」と題された文書では、2023年度中にハラスメント行為によって懲戒処分が行われた事案が多数発生していると指摘、別紙として「消防本部におけるハラスメントの実態に関する調査」を添付しました。
実態調査は全国の消防本部(720本部)を対象に2023年度中にハラスメント行為によって懲戒処分などが行われた事案について調査したもの。それによると、ハラスメント件数は176件であり、206人が懲戒処分などを受けていました。
ハラスメントの内訳は、パワハラが最も多く145件、次いでセクハラが19件、2種類以上のハラスメントが行われたとする「複数のハラスメント」が11件、マタハラが1件でした。懲戒処分などの内訳は、処分の重い順に免職が1人、停職が17人、減給が43人、戒告が32人、訓告などが113人となりました。
懲戒処分などを受けた職員の階級についても記されており、階級が高い順に消防正監が1人、消防監が9人、消防司令長が24人、消防司令が60人、消防司令補が66人、消防士長が36人、消防副士長が7人、消防士が3人(合計206人)となっています。
また、年代別では50代が最も多く43.2%(89人)、次いで40代が33.0%(68人)、30代が17.0%(35人)となりました。20代(4.4%)や60代(2.4%)でも処分事例がありました。
総務省消防庁では、ハラスメント防止のため、①消防庁の意思の明確化、②ハラスメントに係る通報および相談をしやすい環境づくり、③ハラスメントやその予兆の早期覚知、④階層別の研修などの実施、⑤職員相互で不適切な言動をけん制しあえる良好な関係の構築――の5つを留意事項としてまとめ、対策の徹底を求めました。例えば①では、「消防本部のトップである消防長自らが『ハラスメントは許さない』という意志を明確にし、それを消防本部内に周知徹底していくことが重要である」と記しています。