国土交通省は4月22日、ダムの貯水を事前放流する際のガイドラインを策定しました。台風や大雨に見舞われた際に河川が氾濫するのを予防するのが目的です。
ガイドラインでは、事前放流する際の開始時期とその基準となる降雨量などについて定めています。事前放流を実施する判断は、放流の3日前から行うことを基本とし、気象台が「台風に関する全般気象情報」や「大雨に関する全般気象情報」を発表した段階から、ダム管理者は事前放流を実施する態勢に入ります。ダム管理者は国交省のシステムにアクセスし、ダム上流の予測降雨量を注視、予測降雨量が基準値を上回る場合に事前放流の実施を決定します。予測降雨量は気象庁の数値予報データを用いるとしています。
このガイドラインは政府の「既存ダムの洪水調整機能強化に向けた検討会議」で決定した基本方針に基づいて策定されました。同会議は2019年11月に、同年10月の台風19号(令和元年東日本台風)などを踏まえて水害の激甚化と治水対策の緊要性を勘案して設置されました。
今後は2020年6月までに、ソフトとハードの両面の対策を組み合わせた工程表を一級水系で作成するとしています。二級水系については、国と地方の協議を通じて順次、水系ごとの工程表の作成を推進する計画です。