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特別警報

掲載:2013年10月19日

用語集

これまで気象庁は、大雨、地震、津波、高潮などにより重大な災害の起こるおそれがある場合に、「警報」を発表して警戒を呼びかけていました。2011年の東日本大震災では大津波警報を発表し、同年の台風第12号による大雨災害でも、警報の発令により重大な災害への警戒を呼びかけています。しかしながら危険性が著しく高いことが有効に伝わらず、関係市町村長による避難勧告・指示の発令や、住民自らの迅速な避難行動には必ずしも結びつきませんでした。

この反省を踏まえ、今後「警報」の発表基準をはるかに超える災害の危険性が著しく高まっている場合、気象庁は新たに「特別警報」を発表することとなりました。この「特別警報」は平成25年9月30日から運用が開始されています。

         

特別警報の発表基準

「特別警報」は、「警報」の発表基準をはるかに超える現象に対して発表します。大きく気象関係の特別警報とそれ以外(地震・火山・津波)に分けられます。

【気象等に関する特別警報】
大雨、暴風、高潮、波浪、暴風雪、大雪の6種類は「○○特別警報」という名称で発表されます。特別警報の発表基準は以下のとおりです。

現象の種類 基準
大雨 台風や集中豪雨により数十年に一度の降雨量となる大雨が予想され、若しくは、数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧によりう大雨になると予想される場合
暴風 数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧により 暴風が吹くと予想される場合
高潮 高潮になると予想される場合
波浪 波浪になると予想される場合
暴風雪 数十年に一度の強度の台風と同程度の温帯低気圧により雪を伴う暴風が吹くと予想される場合
大雪 数十年に一度の降雪量となる大雪が予想される場合
出典:気象庁ホームページ

“数十年に一度”という表現が使用されていますが、この尺度は地域により異なるので、「特別警報」の発表基準は地域の災害対策を担う都道府県知事及び市町村長の意見を訊き気象庁が決定します。今後も特別警報の実際の発表状況や効果等について検証しつつ、必要に応じて見直しを行っていくこととなります。

【津波・火山・地震に関する特別警報】
津波・火山・地震(地震動)に関する「特別警報」は、従来からの「警報」のうち、危険度が非常に高いレベルのものを「特別警報」に位置づけています。特別警報の発表基準は以下のとおりです。

現象の種類 基準
津波 高いところで3メートルを超える津波が予想される場合
(大津波警報を特別警報に位置づける)
火山噴火 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が予想される場合
(噴火警報(居住地域)を特別警報に位置づける)
地震(地震動) 震度6弱以上の大きさの地震動が予想される場合
(緊急地震速報(震度6弱以上)を特別警報に位置づける)
出典:気象庁ホームページ

出典:気象庁ホームページ

・特別警報の創設による津波警報体系の変更
従来から、「予想される津波の高さが3mを超える」場合を「大津波警報」として「警報」を発表していましたが、この名称を変更し、「特別警報」と位置づけています

出典:気象庁ホームページ

・特別警報の創設による火山の警報体系の変更
火山の警報体系は、噴火警戒レベル(※)を運用している火山とそれ以外とで体系が異なります。
噴火警戒レベルを運用している火山において5段階のレベル表示が使用されていますが、噴火警戒レベルを運用していない火山ではレベルづけがされていません。
特別警報に該当するのは、噴火警戒レベルの使用の有無に関わらず「噴火警報(居住地域)」となっていますが、噴火警戒レベルが使用されている火山では、噴火警戒レベルが4または5が該当します。

※噴火警戒レベルは、「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として火山噴火予知連絡会によって選定された47火山のうち、30火山(平成25年7月現在)で運用されています。

出典:気象庁ホームページ

・特別警報の創設による地震動警報(緊急地震速報)体系の変化
従来の仕組みでは最大震度が5弱以上と予想された場合に警報として「緊急地震速報(警報)」を発信していましたが、これからはこの警報基準をさらに細分化し、震度5弱以上を警報、震度6弱以上を「特別警報」と位置づけ、緊急地震速報を発信します。

緊急地震速報を発表してから強い揺れが到達するまでの時間は、長くても十数秒から数十秒と極めて短く、震源に近いところでは速報が間に合いません。また、ごく短時間のデータだけを使った速報であることから、予測された震度に誤差を伴うなどの限界もあります。緊急地震速報を適切に活用するために、こうした限界を知っておく必要があるでしょう。

特別警報が発表されたら

「特別警報」が発表されたら、経験したことのないような異常な現象が起きそうな状況です。ただちに命を守る行動を取る必要があります。「特別警報」が発表された場合のとるべき行動を下記に記載します。

・気象の場合のとるべき行動
直ちに命を守る行動をとる必要あり。避難所へ避難するか、外出することが危険な場合は家の中で安全な場所にとどまる。

・津波の場合のとるべき行動
沿岸部や川沿いにいる人は、直ちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難が必要。津波は繰り返し襲ってくるため、津波警報が解除されるまで安全な場所から離れない。

・火山噴火の場合のとるべき行動
  避難準備(レベル4)
   警戒が必要な居住地域での避難の準備、災害時要援護者の避難等が必要。
  避難(レベル5)
   危険な居住地域からの避難等が必要。

・噴火警報と、とるべき行動(噴火警戒レベルが運用されていない火山)
居住地域及びそれより火口側の範囲で厳重な警戒をおこなう。

・緊急地震速報ととるべき行動
関連記事「緊急地震情報」参照

最後に

特別警報が発表されないからといって安心することは禁物です。特別警報の運用開始以降も、警報や注意報は、これまでどおり発表されますし、気象に関する警報は時間を追って段階的に変化することも想定されます。常に早め早めの行動をとることが大切です。
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