富士山で大規模噴火が発生した場合、首都圏なども降灰に見舞われ、都市機能や社会経済活動に深刻な影響を与えると想定されています。この課題に対して内閣府では検討会を設置、今年度中に広域降灰対策についてのガイドライン策定を目指しています。9月9日には第2回の検討会が開催され、論点となった4つのテーマについてそれぞれ資料が公開されました。
それによると、第2回検討会では、輸送・移動手段▽物資供給▽ライフライン▽火山灰の処理――に関する対策が議題となりました。資料では、2020年に取りまとめられた報告書(大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ「大規模噴火時の広域降灰対策について―首都圏における降灰の影響と対策―~富士山噴火をモデルケースに~(報告)」をもとに被害想定などが示され、広域降灰に対して取るべき対策やその考え方について委員に意見を求めました。
例えば火山灰の処理では、処理対象となる火山灰の総量が示されました。具体的には、約4.7億立方メートルとなるケース(西風卓越)と、4.9億立方メートルになるケース(西南西風卓越)が示されており、東日本大震災で発生した災害廃棄物の約10倍に上る量と紹介されています。
火山灰は通常のごみとは別の扱いです。ものを燃やしてできる「灰」とは違い、火山ガラスや鉱物などで構成されています。桜島や有珠山などの噴火では、火山灰は土砂として土捨て場への捨土(処分)や埋め立てにして各施設管理者が処理しています。しかし、富士山噴火の場合は多量の火山灰の処理となるため、広域的な仮置き場や処分の調整が必要となると課題提起されています。
火山灰を処理する方法は埋め立てなどのほかに、「緊急海洋投入処分」や再利用などがあります。緊急海洋投入処分では、環境大臣が緊急に処理することが必要と判断した場合、指定された条件の下で緊急的な海洋投入を可能とするものです。ただ、火山灰を船に積むことになるため、その積み込みコストや、船や船員・作業員の確保などが課題となります。
検討会は第3回の会合を10月22日に予定しています。そこでは、ガイドライン「首都圏広域降灰対策に関するガイドライン(仮称)」の骨子案を作成することにしています。