公益財団法人地方経済総合研究所は10月8日、熊本県内の事業所を対象に実施した経営状況に関するアンケートの結果を公表しました。復興需要の剥落と新型コロナウイルスの感染拡大、豪雨災害などが重なり、厳しい経営環境ではあるものの、「DX」や「SDG経営」それぞれに積極的な企業では、売上が回復していると同研究所は分析しています。
「熊本地震に関する県内事業主アンケート」は熊本地震のあった2016年から毎年、実施されています。従業員4人以上の事業所(行政は除く)が対象で、今年は9,088事業所にアンケートを行いました。調査期間は6月4~28日で、1,746事業所から回答を得ました。
震災の影響で売上が減少したとする事業所は全体の36.3%で、うち51.3%は震災前の売上規模に回復していません。また、操業能力が震災前と同じレベルに回復したかを尋ねたところ、回復が75%未満としたのは11.4%でした。特に飲食業と宿泊業において、回復率が低くなりました。
震災後、「復興需要の影響を受けた」とする事業所は全体の40.9%でした。しかし、復興需要が「既に終了した」とする事業所は76.6%で、「今後半年以内に終了する」とした事業所(6.8%)と合わせると、2021年末までに復興需要が終了する事業者の割合は83.4%となりました。
同研究所は「DX」や「SDG 経営」に消極的な企業は、売上の回復度合いが低いと指摘しています。他方、それらに積極的に取り組む企業は従業員規模に関わらず、売上回復への突破口を見出しているとまとめています。