日本生産性本部はこのほど、東証プライム上場企業の有価証券報告書における人的資本の開示状況を調査した報告書(速報版)を公表しました。対象は2023年3月末決算企業とし、日本生産性本部の「人的資本経営の測定・開示」ワーキンググループ(WG)が取りまとめました。同WGは人的資本の測定と開示が企業経営に与える影響について調査や分析を進め報告書を取りまとめる予定としています。
上場企業などを対象に2023年3月期決算の有価証券報告書からサステナビリティ関連項目として人的資本の情報開示が内閣府令によって義務付けられました。人的資本とは人材を「資本」と捉えることで、人的資本経営とは人的資本の価値を最大限に引き出し、企業価値の向上につなげようとする考え方です。人的資本の情報開示としては「人材育成方針」、「社内環境整備方針」のほか、人材の多様性をはかる指標として「男女間賃金格差」、「女性管理職比率」、「男性育児休業取得率」の開示が求められます。
日本生産性本部が公表した報告書(速報版)によると、有価証券報告書における人的資本・多様性に関する記載は2,000字未満が約 6 割であり、全体平均は 2,095 字でした。男女間賃金格差については、男性を100 とすると女性の平均値は70.8でした。70~75の企業が全体の23.2%を占め、最多となりました。業種別では、情報通信業が 75.4 で賃金格差が最も小さく、次いでサービス業が73.9、製造業が72.7となりました。
他方、女性管理職比率では、5%未満が全企業の 48.2%、15%未満が84.1%でした。