総務省消防庁は3月25日、「消防機関におけるNBC災害時の対応能力の高度化に関する検討会」の報告書とともに、改正した「化学災害又は生物災害時における消防機関が行う活動マニュアル」(以下、活動マニュアル)を公表しました。活動マニュアルの改正は7年ぶりであり、より具体的かつ実践的な内容へと変化しました。同検討会は2023年6月から活動マニュアルの見直しについて議論を重ねてきました。
NBC災害とは、核(Nuclear)、生物(Biological)剤、化学(Chemical)剤によって発生する災害のことです。活動マニュアルは化学剤および生物剤の漏洩、流出、拡散または散布の事故と、テロなどに伴う有毒性に起因する災害などを対象としています。
近年の国際的な知見や大規模イベントなどを通じて蓄積された経験および教訓を踏まえ、NBC災害への対応能力をさらに高度化させるために活動マニュアルは改正されました。特に、化学災害に関して化学防御服や検知器などの資機材、除染などに関する国際的な知見に変遷がみられるとして、マニュアルに反映しました。具体的には、国際基準などを踏まえて防護措置区分を見直したり、最新の国際的な除染ガイドラインを踏まえた除染活動手順を導入したりしました。
現場における活動の理解を深めるため文書だけでなく、動画資料も作成しました。動画は教育訓練用に作成され、実際の作業に似た環境を用意して手順を具体的に示しています。例えばNBC災害活動時の合図や清拭による除染の手順などを詳細に解説しています。