サプライチェーンにおける環境配慮(環境デュー・ディリジェンス、環境DD)の重要性が高まっています。環境省はこのほど、2021年3月に公表した「環境デュー・ディリジェンスに関する取組事例集」の内容を充実させて公開しました。
同事例集は国内企業による環境DDの取り組みを紹介しており、環境DDに取り組む方法が分からない企業や取り組みをさらに発展させたいと考える企業の活用を想定しています。
事例集を更新した背景には、経済協力開発機構(OECD)が2023年6月に「責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針」を12年ぶりに改訂したことがあります(この改訂により名称を「OECD多国籍企業行動指針」から変更)。改訂では、気候変動や生物多様性について国際的に合意された目標に基づいた企業行動を求めたほか、データの収集や利用を含めた技術に関するDD実施の期待などが盛り込まれました。また、環境に対する負の影響についてリスクベースの実施を求め、企業が関与している場合がある具体例が示されました。
新たな事例集では、環境 DDプロセス別の取り組み事例に加えて、負の影響のカテゴリー別でも取り組み事例を紹介しました。プロセス別では、方針・経営システムへの組み込み▽負の影響・リスクの発見、評価▽リスクの停止、防止、軽減▽実施状況と結果の追跡調査▽情報開示――において計11事例を掲載。負の影響のカテゴリー別では、気候変動▽自然資本・生物多様性▽森林減少▽資源循環――において計5事例が示されています。
このほか、環境問題と人権問題を別々に扱うのではなく、両者のつながりを考慮して扱う取り組みなどをコラムで取り上げています。