日本発の国際規格と国内認証機関の強化を推進、「日本型標準加速化モデル2025」を公表 経産省
経済産業省は16日、同省の審議会である「日本産業標準調査会」(JISC)が取りまとめた政策アプローチ「日本型標準加速化モデル2025」を公表しました。JISCが2023年に取りまとめた「日本型標準加速化モデル」に①特定分野における国主導の戦略的標準化と、②国内認証機関の強化という取り組みの柱を加え、新たな基準認証政策を展開するとしました。
JISCは産業標準化法(JIS法)に基づき、日本産業規格(JIS)の制定・改正や、産業標準化の促進に関する諮問への答申を行っています。国際規格の開発に関する窓口でもあり、国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議(IEC)の国内唯一の会員でもあります。
今般取りまとめられた「日本型標準加速化モデル2025」では、日本に不利なルール形成が進められ得るという危機感が高まっているとし、従前の取り組みに加えて新たな取り組みが必要となっていると指摘しました。
一つ目は、特定分野における国主導の戦略的標準化です。産業政策上の重要分野において国際的な議論をリードしていくために、国が牽引する形で産業政策と真に連動した分野全体の標準化を展開します。
パイロット分野として量子▽水素アンモニア▽バイオものづくり▽データ連携基盤▽ペロブスカイト太陽電池――の5つが選ばれました。データ連携基盤では「ウラノス・エコシステム」(システム連携基盤構想のイニシアティブ)を推進することや、日本規格協会(JSA)や情報処理推進機構(IPA)と連携してデータ連携基盤のアーキテクチャを関係者に共有することなどが記されています。
新たな取り組みの2つ目には、国内認証機関の強化が打ち出されています。背景には、国外の認証機関に認証取得を依存していると、サプライチェーンや設計情報といった機微データが国外へと流出することに繋がりかねないという懸念があるためです。認証の対象が最終製品からサプライチェーン全体に拡大しており、例えばEUの電池規則ではサプライチェーン上の取引履歴などの提出が求められる可能性があるといわれています。
この課題に対応するため、短期的には国内認証機関と国外認証機関の戦略的連携の強化により、国外規制に応じた技術的検証やそれに基づく評価を国内認証機関が行い、その結果を持って国外認証機関が当該国での認証を得るようにするとしました。具体的には、日本品質保証機構(JQA)とTÜV NORD CERT(TÜV NORD)の戦略的パートナーシップ協定を活用・強化します。
日本では2026年度から排出量取引制度(GX-ETS)が開始されます。この制度に伴い、認証の需要が増すため、認証従事者の人材育成やAIシステムを活用した業務効率化などを支援するとしています。