EUの「企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)」と「強制労働製品禁止規則」について解説した報告書を公表 ジェトロ
日本貿易振興機構(ジェトロ)は2月25日、欧州連合(EU)におけるサステナビリティ関連規制を調査した報告書を公表しました。EUで進む人権および環境デュー・ディリジェンスに関する法制化のうち、日本企業にとって影響が大きいとされる「企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)」と「強制労働製品禁止規則」について解説しています。
公表された資料は調査報告書「EU人権・環境デューディリジェンス法制化の最新概要」(全57ページ)と、調査報告書の概要を説明したスライド資料「2025年2月版EU人権・環境デューディリジェンス法制化の最新概要-企業持続可能性デューディリジェンス指令および強制労働製品禁止規則-」(全15ページ)です。調査報告書では、CSDDDの全体像▽国際的枠組および欧州の法令とCSDDDの国内法化に向けた動向▽CSDDD実務上の注意点・対策▽強制労働製品の域内流通禁止規則の概要――についてまとめられています。
それによると、EUでは国際的枠組みにおいて企業に推奨されてきた人権および環境に関するデュー・ディリジェンスは、企業の自主性に任せるだけでは不十分として法制化が進みました。CSDDDや強制労働製品禁止規則もその一環となります。
法制は大きく3つ、①開示・報告を義務付けるもの②デュー・ディリジェンスおよび開示を義務付けるもの③関連する製品の域内流通、域外輸出を制限するもの――に大別されます。こうしたことから、適用対象企業のみならず、適用対象企業と直接・間接的に取引のある企業にも影響があります。取引先から人権・環境に対する取り組みとともに情報開示を求められると想定できるからです。
CSDDDはデュー・ディリジェンスの義務を課す法制度です。2024年7月に施行されました。報告書によると、2026年7月26日までに各EU加盟国にて国内法化され、2027年7月26日から企業規模に応じて段階的に適用が始まるということです。また、国内法化の過程において要件が追加される可能性があります。
欧州ではEUのCSDDDのほかに、フランス「企業注意義務法(Devoir de Vigilance)」、ドイツ「サプライチェーン・デューディリジェンス法(Lieferkettengesetzes)」、ノルウェー「透明性法」、スイス「紛争鉱物および児童労働に関するデュー・ディリジェンス法」、オランダ「児童労働注意義務法」(未施行)があると紹介しています。このうち先行しているフランスとドイツを個別に取り上げ、両国のCSDDDを受けた国内法の整備や訴訟の状況などを記しています。
強制労働製品の域内流通禁止規則は、製品に焦点を当てた法制度であり、製品の流通と輸出入を規制します。2024年12月に施行されました。報告書によると、2027年12月14日から適用開始となり、強制労働によって生産された製品は、EU域内での流通およびEU域外への輸出の双方がともに禁止されます。