中小企業庁はこのほど、「2025年版 中小企業白書」を発表しました。
第1部「令和6年度(2024年度)の中小企業の動向」では、中小企業・小規模事業者において対応の重要性が高まっている共通価値として、脱炭素化・GX、サーキュラーエコノミー、経済安全保障・人権尊重、BCPが挙げられ、それぞれの動向や取り組みをまとめています。
まず、「脱炭素化に向けた取り組みに関する協力要請を受けた」と回答した中小企業・小規模事業者のうち、割合が比較的高かったのは「省エネルギー(使用量削減や設備更新等)」(44.9%)や「CO2排出量の算定」(32.4%)でした。また、支援機関及び地方公共団体における、支援先事業者からのGXに関する相談件数が2023年に比べて「増加している」と回答した割合は46.2%にのぼり、中小企業・小規模事業者において脱炭素化への取り組みの必要性が高まっていることが示されています。
サーキュラーエコノミーの認知・取り組み状況について「概念を認知しており、実際に取り組んでいる」と回答した事業者における、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みで最多だったのは、「産業廃棄物削減・リサイクル推進」でした(61.0%)。また、取り組みを進めるにあたっての問題点として、「特にない」(43.3%)に続いたのが「コストに見合った収益を上げられない」(20.5%)、「具体的な効果や成果が見えない」(19.2%)、「何から取り組めばよいか分からない」(17.3%)でした。
経済安全保障では、自社の取引先(発注企業)から実際に対応を求められている、または今後対応を求められる可能性が高いと考えている取り組みとして「特にない」(67.5%)に次いで高い割合だったのが「サイバーセキュリティ・技術情報管理強化」(22.1%)、「サプライチェーンの強靭化」(8.6%)でした。
企業活動における人権尊重の取り組みについて、9.6%の中小企業・小規模事業者が、取引先などから人権尊重に関する具体的な働きかけや要請を受けていることが報告されています。人権尊重の重要性については、中小企業で93.4%、小規模事業者で89.6%が「非常に重要である」または「ある程度重要である」と回答。「非常に重要である」または「ある程度重要である」と回答した中小企業、小規模事業者で、人権方針を「既に策定している」割合はそれぞれ低い結果となりましたが(中小企業で11.7%、小規模事業者で5.9%)、今後策定を検討している事業者は中小企業で43.7%、小規模事業者で34.1%でした。
BCPに関して、中小企業・小規模事業者における策定率は16.5%でした。上昇傾向にはあるものの、大企業の策定率は37.1%であり、水準に依然として差があることが指摘されています。BCPを策定していない理由として比較的割合が高かったのは「策定に必要なスキル・ノウハウがない」(中小企業で41.0%、小規模事業者で37.9%)、「策定する人材を確保できない」(中小企業で34.0%、小規模事業者で29.8%)といったリソース不足に関する回答でした。
第2部「新たな時代に挑む中小企業の経営力と成長戦略」では、中小企業・小規模事業者が成長を遂げるためには経営者が「経営力」を向上させることが重要であると指摘。その上で、経営力を向上させるために有効と考えられる取り組みを、データの分析結果などをもとに示しています。
「2025年版 中小企業白書」の全文は中小企業庁のウェブサイトに掲載されています。